2011年11月21日月曜日

次世代無線LAN規格IEEE802.11ac

次世代無線LAN規格が動き出している。スマホの普及で、無線LANの有用性、そして携帯キャリア会社の救世主、ということで、いろいろ注目されている無線LANであるが、はやければ来年2012年にも次世代規格802.11acのデバイスがでてきそうだ。

IEEE802.11acの規格自体は2013年末くらいに全ての仕様がfixされるような形で標準化が進んでいるが、11nの時もそうであったように、物理層の仕様が固まりつつあるので、この段階で、「ドラフト」という形でデバイスが来年にもでてきそう、というみるのが、大方の見方だ。

11acの大きな特徴は、
・ 信号帯域が160MHz(160MHzはオプション。80MHzが必須。また、80+80MHzが連続、非連続の両方が存在)
・ 後方互換性を確保。
・ 8x8MIMO
・ 256QAM
などなどがあるが、これらの技術を用いて1Gbpsを実現する、という規格になっている(8x8MIMOで約7Gbpsまで拡張可能)。

実際この規格が今の無線LANのように安価に普及した場合、LTEやLTE-advancedのコスト高の1Gbps以下の通信速度サービスは競争力を持たなくなるかもしれない。

どこからか現れた実業家が、基本的に無線LAN経由によるサービスを提供し、補足的なものとして携帯のサービスをMVNOで安価に(リソースを小さく契約するため)調達できたとしたら・・・。現在の携帯電話各社は全く太刀打ちできないと感じる。

今後、より一層、携帯各社の無線LAN網とのつきあい方は、重要なファクタとなっていくだろう。


2011年11月1日火曜日

LTEエコーシステムの現状

GSA(Global mobile supplier association)が久々に出したLTE関連のレポートによると、
http://www.gsacom.com/downloads/pdf/gsa_lte_ecosystem_report_281011.php4
以下の数のLTE関連デバイスが世にでているそうだ。


「LTE FDD」
700 MHz                        106 devices
800 MHz                        42 devices
1800 MHz                       41 devices
2600 MHz                       52 devices
800/1800/2600 MHz        36 devices
AWS                             35 devices
(AWS: advanced wireless service 。1.7GHzなどを指す)。

「LTE TDD」

2300 MHz                      18 devices
2600 MHz                      17 devices

驚く事なかれ、我らがNTTドコモ様のバンド1(2.1GHz)のデバイスは全くもって数に入っていない・・・。まぁ、バンド1は5MHz帯の先行バンドなので、本格運用のバンド21(1.5GHz)は?、と見ても数にはいっていない・・・。やはり、未だに日本の市場はガラパゴスのようだ。。

また、既にTD-LTEのデバイスが結構でているのも、驚きだ。iPhoneに関してもiPhone5のLTEより、iPad3(?)のTD-LTEの方が早くリリースされる、という噂があるくらいで、TD-LTE市場も結構注目を集めている。

2011年10月現在35のキャリア会社がLTEサービスを始めているようだ。特に北米に関してはベライゾンもAT&Tも700MHz帯を使用しており、上記のデータからもその活況がわかる。日本も盛り上げていきたいところだ。




2011年10月25日火曜日

ソフトバンクのiPhone(スマートフォン)戦略とWiFi戦略

以前ソフトバンクのスマートフォン戦略の記事を書いたが、TD-LTEに関しては未だ未実現となっているが、WiFi戦略がかなり浸透していきているので、再度言及したいと思う。
http://lteltelte-lteworldsituation.blogspot.com/2011/02/blog-post.html
※ ソフトバンクHPから引用


私自信iPhone4Sを現在使用しているが、ほとんど3Gの回線は使用していない。というのも、WiFiルータを所有していることもあるが、駅や店などでは、ほとんどソフトバンク系の無線LANが無償で使用できるからだ。

現在ソフトバンク系の公衆無線LANは、
・ 以前からある「mobilepoint」のネットワーク
・ 最近拡充されている「0001softbank」のネットワーク
・ FON
と三種類ある。FONはスペインが始まったみんなで無線LANネットワークを共有しよう、というコミュニティで日本でバッファローがやっているFreeSpotに似ている。ただ、その普及は桁が違う。ほぼ全世界で普及している、という代物だ。

日本でもFONジャパンが立ち上がりgoogleやインターネットプロバイダのエキサイトなどが出資している(http://www.fon.ne.jp/)。

以下のルータを納入し、一部一般にネットワークを開放することで、代わりに様々な場所で無線LANが使用できる権利を得るわけだ。



一見ソフトバンクとは関係ないものだが、ソフトバンクからこのFONルータを無償提供し普及の促進に一役かっている状況だ。

ソフトバンクは今年9月に、10万箇所の無線LANアクセスポイントが設置されたことをニュースリリースしている(http://www.softbankmobile.co.jp/ja/news/press/2011/20110929_04/)。

そして現在も公衆無線LANエリアを拡大すべく、法人・店舗にはWiFiルータを無償提供している(http://mb.softbank.jp/mb/special/network/sws_router/)。


これは、現代のスマートフォン時代、キャリア会社としては、極めて、極めて賢明な判断だと思う。つまり、ソフトバンクはWiFiエリアを拡充し、セルラ3G回線の通信負荷を劇的に下げているのだ。

3Gのインフラ整備と無線LANのインフラ整備。その費用には雲泥の差があることは明らかだろう。しかも、スマートフォンは、3G回線、無線LAN回線を意識せず、通信が行える。しかも、積極的に無線LAN回線を使用して動作するので、キャリアの設備投資費も下げる格好となる。

ユーザも3G回線を使用し、課金量を増やしたくない。キャリア側も整備コストの高いセルラ回線はあまり使用して欲しくない。この『公衆無線LAN』普及ソリューションはまさにユーザとキャリア会社のwin-winを実現するものなのだ。


WTOが予測するには、世界はどんどん都市化していくようだ。つまり、人口密度が高いところはもっともっと将来高くなる、ということだ。こういった高い人口密度のエリアは無線LAN、そして郊外や移動速度の早い移動体に乗っている時はセルラ回線、というように自動的に切り替えるソリューションが今後のキャリア会社には重要になってくるのであろう。

現在海外のキャリア会社の多くは、設備投資費用に見合わない、という理由から定額料金をどんどん止めているが、これはややもするとLTEを含めたセルラサービスの衰退を招きかねない。やはり、セルラも安心して使える、定額料金にして、実際のデータ通信は無線LAN回線を使用する、というようにサービス提供者が工夫するというのがベストだと感じる。



そういった意味ではソフトバンクのこの事業戦略は「あっぱれ」というしかほかない。私もFONのルータを設置することにしよう。。


2011年10月21日金曜日

ミリ波通信(IEEE802.11ad、WiGig)

近年周波数の枯渇や大容量データ通信の必要性などの理由から60GHz帯のミリ波通信の必要性が叫ばれ、標準化が進んでいる。

主な規格としては、
・ IEEE802.11ad
・ WiGig
・ WirelessHD
・ ecma international
となるが、今回は802.11adとWiGigに関して、その標準化動向や技術内容に関して俯瞰していきたい。

各規格を見る前に、ミリ波の周波数の状況だが、日本でも、以前から特定小電力無線局として59~66GHzが割当てられていたのだが、これを2GHz分拡張し、57~66GHzが使用できるようになった。


こうすることにより、欧州などと歩調がとれ、協調運用が可能だ。これにより、デバイス開発などが容易になる。ミリ波伝送の周波数プランは、国際的に
チャネル1:中心周波数58.32GHz、帯域幅2160MHz

チャネル2:中心周波数60.48GHz、帯域幅2160MHz
チャネル3:中心周波数62.64GHz、帯域幅2160MHz
チャネル4:中心周波数64.80GHz、帯域幅2160MHz
となっており、日本は全て対応出来る形になっている。ちなみにヨーロッパでも全て、北米や韓国はチャネル1~3が対応可能、という形だ。


さて、話を規格の方に戻そう。


802.11adは先の記事でも示したが、11acのミリ波版とも言える方式だ。
http://lteltelte-lteworldsituation.blogspot.com/2011/10/ieee.html

もともと、802.15.3cで規格していたのもを一本化したものと言われているが、シングルキャリア方式とOFDM方式両方をもつ、ちょっと今までにない方式だ。概要とまとめると(あくまでも現時点でのドラフト5.0でのものだが)、

帯域: 2160MHz

シングルキャリアサンプリング周波数: 1760MHz


OFDMキャリアサンプリング周波数: 2640MHz

プリアンブルSync長: コントロールPHY38repetition、
他のMCSでは14repetitiion(Golaycodeを使用)

プリアンブルSFD(start Frame delimiter):コントロールMCSには、128長のGolayシーケンスを2つ、高レートMCSには128長Golayシーケンスを1つ。


プリアンブルCES(channel estimation sequence):128のガードインターバルに続く8つの128長のGolayシーケンス(シングルキャリアでも、OFDMでも同様)が2つ。

コントロールPHY(MCS-0):32 Golay 拡散、Pi/2 DBPSK 、短縮された LDPC コード


OFDM FFT サイズ:512

シングルキャリア変調:Pi/2 DBPSK、Pi/2 BPSK、Pi/2 QPSK、Pi/2 16QAM
OFDM変調:SQPSK、QPSK、16QAM、64 QAM

誤り訂正:リードソロモン 208/224、BC8/16、LDPC 1/2, 3/4, 5/8, 13/16

となる。

また、11adはミリ波なので、どうしても電波の遮蔽が厳しくなるが、これの解決策として11nなどの規格(6GHz未満)への高速ハンドオーバなども機能も有している。


次にWiGigに関してだが、WiGigにはWiGigアライアンスがあり、その業界標準化を虎視眈々と狙っている。WiFiアライアンスとの協業やWiGig仕様の一部IEEE802.15.3c仕様の踏襲、また11adの標準化に寄与するなど、ミリ波通信の業界標準に向けて準備万端といった形だ。

WiGigの一番の特徴はなんといってもIPだけでなく、無線で機器とつなげることができる、ことであろう。ePCIやUSB、HDMIともつながる。そして、これらを柔軟に切り替えるためにプロトコル・アダプテーション層を採用している。PAL層とも呼ばれる。

また、以下のような特徴も見られる。
・ データレート:OFDMで7Gbpsまで、シングルキャリアで4.6Gbpsまで。
・ ビームフォーミング技術の採用
・ マルチバンドオペレーション(2.4GHz帯、5GHz帯との協調運用)
・ 電力制御(2デバイス間で協調し、より低消費電力な形で動作)
・ 高度なセキュリティ機能AES(Advanced Encryption Security)の採用。Galois/Counter Modeの採用。

ミリ波デバイスが安価になってきたことで、このあたりの通信が一気に花開きそうだ。

60GHz帯は無許可で使用できる周波数帯でもあり、帯域が広いことから高スループットの伝送も容易である。最近は既に試作機もでてきている段階にあるが、これらの技術が商品化されたころには、まさにSFの世界のような、リッチコンテンツが楽しめる世の中になっていることだろう。

ストレージ機器、ディスプレイなどとともに、今後もミリ波通信が繰り広げる世界、に関しても継続してウォッチしていきたい。


2011年10月11日火曜日

アマゾンタブレット端末、キンドル・ファイア

本ブログでも予想したように7インチタブレット版キンドルファイアが発表された。11月15日販売予定、ということだ。
http://lteltelte-lteworldsituation.blogspot.com/2011/09/blog-post_19.html

価格も1万5千円程度、とiPadよりもかなり安い。

タブレット端末は様々出ているが、この勝敗を決めるのは、性能でも価格でもなく、コンテンツシステムと言われる。アップルはアップルストアをもち、アプリ、音楽、ビデオなど幅広く販売するシステムをもつ。一方、アマゾンもeコマースの代表格であり、またキンドルでの電子書籍関連販売実績は他を圧倒する。アマゾンはこのキンドル・ファイア用にホームページを大幅改訂している、という噂もあるし、当然、様々なものを販売していくことになると思うので、そういったしくみを作るというのは当然のことだと思う。

日本勢といえば、「アクトビラ」なんというコンテンツ販売システムを共同で作成しているが、これを活用してソニータブレットSまたはPシリーズは、コンテンツシステムを構築していくのかもしれない。

ただ、電子書籍などは日本の法整備などもあり、またまた海外勢と歩調を合わせることができないようだ。日本の常識は、世界の非常識。今後どのように、グローバルスタンダードに適応していくか、携帯電話でも味わったガラバゴス状態にならないように国をあげて取り組んでいかなければならない、問題なのかもしれない。



2011年10月10日月曜日

3500円タブレットPCの登場!!

な・な・なんと、3500円のタブレット端末が登場している。もちろん、無線LANもついており、タッチスクリーン、2GRAM、USBなどもあり十分な仕様である。これを今後は、技術革新を経て、1500円、800円程度まで価格を下げたい、といっている。まさにアンビリーバブルな話だ。


実はこれ、インドの話。インドの学生用に開発されて1500ルビーパソコンだ。

http://www3.nhk.or.jp/news/tokusetsu2011/1007.html

な~んだ、と思うかもしれないが、中長期的には極めてエポックメイキングな話だ。

① この価格でタブレットPCが開発された場合、欧米・日本のみならず、韓国、台湾、中国など全く歯が立たなくなるだろう。
② 数学が得意で、プログラミングなどに長けているといわれるインド人。こういった12億人がまさに最新ITツールを手にした格好だ。現在のIT技術による生産性の向上はまさに青天井で、こういった労働力12億人が新たに世界の産業界に台頭してくる格好だ。その影響は、全くもって予想がつかないほど巨大、と言える。


インドといえば、バールティー・エアテル(Bharti Airtel)がGTI(Global TD-LTE Initiative)に加盟しており、WiFi・TD-LTEのルータなどがでれば、この1500ルビーPCとルータで、どこにいてもインターネットにアクセスできるようになる。

いやはや、グローバル化とデジタル技術はどこまで世界を変えていくのか、末恐ろしい限りである。

2011年10月7日金曜日

iPhone4S、KDDIとソフトバンクでの速度に違いとアップルの対応に関して

iPhone4Sが発表されてから、KDDIとソフトバンクの速度の違いに関しての多くの報道がなされている。ご存知のようにKDDIは、EVDOのRev.Aマルチキャリアを使用しているため、その速度は、3.1Mbpsまでしかでない。一方ソフトバンクはHSPAを採用しているので、14.4Mbpsまででる(ともに下りの速度)。


ここで注意したいのが以下の2点だ。
① ソフトバンクは、どの程度14.4Mbpsの速度がでるのか?どこで?この速度の人口カバー率はどの程度か?
② ソフトバンクは、現状最大42Mbpsの速度がだせるはずだが、iPhone4Sは14.4Mbps止まりなのか?


①に関して言うならば、数字のインパクトはソフトバンクの14.4Mbpsの方があるのだが、ネットワークの評判はやはりKDDIの方が上だろう。

これはカバーエリア(ひょっとしたら、14.4Mbpsは都市部だけ??)やリソースのスケジューリングの問題、また基地局配置戦略などいろいろな事項が絡んでおり、このような評価になるのだろう。

今後は、最大速度だけではなく、サービスの人口カバー率を考慮して、キャリア会社を選定する必要があるのかもしれない。



②に関しては、14.4Mbpsの物足りなさだ。以下にGSAのHSPAの図を載せるが
HSPAはMIMOや多値変調方式、デュアルキャリアなどを採用し、168Mbpsまで比較的容易に速度を拡張させることが可能だ(HSPA+、もしくはHSPA evolutionと呼ばれる)。しかし、今回は14.4Mbpsどまり、ということだ。ソフトバンクは42Mbpsをうたっており、この制約はiPhone側にある可能性が高い(裏はとれていないので、推測の域をでない)。

アップルサイドとしても、本気のiPhoneはやはり『5』となると伺える(まぁ番号を見れば、「4S」と「5」なので一目瞭然だが)。技術的なことを知る私としては、iPhone4SでせめてHSPA+、iPhone5でLTEを載せて欲しかったと感じるが、現実のものとならず、少し残念に思う。

ただ、故・ジョブズ氏の追悼の意味をこめて、また話題性もあって、iPhone4Sも前バージョンからの買い替え需要など、他の機種を圧倒して普及していくのだろう(キャリア間の移動は別として・・・)。


2011年10月1日土曜日

KDDI(au)、「iPhone5」参入の衝撃、を考える

KDDIのiPhone5の販売が判明した9月22日に、KDDIの株価は66万8千円の年初来最高値をつけ、その後低迷し9月30日には53万6千円と1ピークから0万円以上も下落した。確かにピークに達するまで上がり続けているため、情報がリークし判明とともに失速した、もしくは電池のリコールが相当響いた、などいろいろな解釈があるだろうが、さて実際にはiPhone5の参入はKDDIにさらには日本の携帯電話産業に何をもたらすのだろうか?(現段階ではiPhone5かiPhone4Sかどちらが不明だが、いずれにせよ、iPhoneをKDDIをだすインパクトは変わらないとして、考察を続ける)。少し時間を割いて考えてみたい。



実は同様の動きが米国で今年の初めにあった。ベライゾン・ワイヤレスのiPhone投入だ。アップル社のお膝元米国でも、最初はWCDMAのサービスをするAT&TでのみiPhoneは投入されていたが、今年初めCDMA2000系のサービスを行うベライゾン・ワイヤレスにも投入された。そして、米国第三番目のキャリア会社スプリントネクストテルでも投入される予定だ。

この時点で、同様のサービスを行うKDDIでも、リリースされるのでは?と噂された。つまり、今回の判明は関係者にはそれほどインパクトはなく、ある程度やっぱりかというものだ。アップルの成長の飽和を考えると、至極自然な流れだ。


では、業界関係者ではない消費者にとってのインパクトはどの程度あるのだろうか?今後iPhoneがKDDIからでたことで飛びつくと思われるユーザを、
① ドコモユーザ
② KDDIユーザ
③ ソフトバンク
④ イー・アクセス(イーモバイル)ユーザ
に分類し、以下考察してみたい。

① ドコモユーザ
そもそもKDDIのiPhoneを購入する動機は、
・ iPhoneが好き
・ KDDIが好き
のどちらかである。

ドコモユーザでiPhoneがどうしても欲しい、というユーザは既にソフトバンクへ移るか、日本通信のSIMで使用しているかどちらかであろう。つまり「iPhoneが好き」という動機で、KDDIのiPhoneを購入するドコモユーザはいなさそうだ。

「KDDIが好き」というユーザも既にKDDIに移行しているだろう。

② KDDIユーザ
やはり、「iPhoneが好き」というユーザは既にソフトバンクなどに移っていただろう。現在KDDIユーザで折角KDDIからiPhoneがでるのだから使ってみようかな・・・という消極的購買者は確かに存在するだろう。

③ ソフトバンクユーザ
現在ソフトバンクでiPhoneを使用していてネットワークの質などに不満のあるユーザはKDDIのiPhoneを購入する可能性はある。ただ、ソフトバンクユーザは比較的価格弾力性に敏感な若い層であり、現在のソフトバンク同士通話無料などの魅力的なサービスや、iPhone解約時の9975円が気になってなかなか解約できないだろう。

その上、あの孫さんのことだ、KDDIへユーザが流れる策を、近々打ってくるに違いない。

また、ウィルコムユーザはiPhone、スマートフォンには基本的に興味を示さないのは自明であろう。

④ イー・アクセスユーザ
ここのユーザはデータ通信のヘビーユーザが多い。iPhoneのリリースはあまり関係ないと考えがちだが、iPhone5はテザリングができる可能性が濃厚だ。そうした場合、iPhoneに買い換えることはありえるだろう。しかも、ソフトバンクではなく、ネットワークの安定したKDDIに、という形だ。しかし、テザリングだけに興味があるなら、他の端末でもOKということになるので、やはり、iPhoneが好きでテザリング機能も使用したい、という2つの条件がそろったユーザが移行することになり、その数は微小である、と考える。

総じて考えると、
・ 現在KDDIのユーザでiPhoneに少し興味のあるユーザ
・ ソフトバンクiPhoneユーザでソフトバンクのネットワークに不満があり、解約金、他の特典を差し置いてまで、KDDIに変更したい、というユーザ
・ 現在イー・アクセスユーザでヘビーデータ通信ユーザでiPhoneに興味があるユーザ
となる。いずれも、その数は微小であり、あまりKDDIがiPhoneをリリースするインパクトはない(もちろん話題性はあるが・・・)と結論づけることができる。


アップルは厳しい条件をキャリア会社に押し付ける、と言われる。KDDIがiPhoneを過大評価しすぎて(アップルの成長を考えれば自然の流れだったので)、厳しい契約を交わしていないことを、日本人として祈るところだ。


※ あくまでも、個人的な見解・考察です。

IEEE系の規格に関して

本ブログはLTE(ドコモでいうところのクロッシィ)を中心にした無線通信に関して言及するのが基本的には目的だ。ただ、競争相手を知ることは重要であるので、無線LAN(WiFi)に代表されるIEEE系の規格についてここでみていきたい。 

現在、IEEE系の規格で、活動的なのは、WiMAXのIEEE802.16系と、無線LANのIEEE802.11系、そして、Zigbeeなども含む近距離無線通信の802.15系であろう。

 本記事では、全てに関して言及するとかなり長文になるため、802.11系の規格に関してのみ触れ、また802.11といっても、拡張仕様がかなりあるため、ここではかなり簡単な説明文のみにとどめたい。



802.11 – 無線LAN( PHY&MAC)
まずは全ての大元となる、802.11の説明です。
802.11は、PHYとMACのみの規格です。MAC では CSMA/CA (Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance) プロトコルを使用します。このプロトコルはauthentication, association, reassociation, encryptionおよび電力制御を含みます。周波数は2.4G~2.4835GHzで、赤外線通信も規定されています。

周波数ホッピング拡散(FHSS)の場合にはGFSK変調が使用され、データレートは1Mbpsまでです。オプションで、4レベルGFSKの2Mbpsも用意されています。直接拡散(DSSS)の場合は、DBPSKが用いられ、データレートは1Mbpsまでです。DQPSKでは2Mbpsまであがります。赤外線通信では16パルス変調 (16-PPM)が用いられると1 Mbps、64-PPM で2 Mbpsまでレートが上がります。



802.11a – 5GHz帯での高速通信
以下拡張仕様の説明です。まずは11a。
802.11a は、802.11の拡張版で、5GHz帯のより高速な通信を実現する規格です。OFDMが使用され、6, 9, 12, 18, 24, 36, 48, 54 Mbpsのデータレートを実現します。6, 12 , 24 Mbps は全ての 802.11a デバイスで必須となります。 802.11a OFDM システムは、 52のサブキャリアを使用し (4 パイロットサブキャリア+ 48 データサブキャリア)、要求するデータレートによって、各サブキャリアの変調方式がBPSK, QPSK, 16 QAM,  64 QAMと拡張されます。たとえば 54 Mbpsの場合は、64 QAM変調を使用します。

周波数帯は5 GHz のU-NIIバンド帯で、5.15-5.25, 5.25-5.35, 5.725-5.25 GHzの300MHzを使用します。合計12個の 20MHz チャンネル+ガードバンドになります。 それぞれの U-NII バンドはMAXの出力電力が異なります。これは、FCCの規制に準拠するためです。このあたりの周波数はそれほど使われていないため、干渉波少ないのも特徴です。



802.11b – 2.4 GHZバンドの高速通信拡張
802.11b は、 802.11の追加です。目的はデータレートを802.11の1もしくは2Mbpsから5.5~ 11 Mbpsにあげることです。そのため、 8 チップの CCK (Complementary Code Keying) 変調が使用されます。 チップレートは常に11 MHz で、802.11と同じ帯域が使用されます。

また、オプションが2つ用意されています。一つ目は、PBCC (Packet Binary Convolution Coding)変調方式で、畳み込み符号が使用され、パフォーマンスが改善されています。もう一つは、2, 5.5, 11 Mbpsのデータレートで使用され、PLCPプリアンブルのサイズを小さくします。このオプションではショートプリアンブルが使用され、より高速な通信が実現できます。



802.11c – 802.11 MAC とのブリッジ– 802.1d の補足
802.11c は、802.11フレームをサポートする802.1d の補足です。



802.11d – 国際ローミング拡張
802.11では、6つの規制範囲のみ規定されています。 802.11d では、802.11がこれらの範囲を超えて使用できるように追加されています。まずアクセスポイントはマルチドメインの属性をSTAに運びます。国情報なども使用されます。 802.11d では以下の2つのメリットがあります。
・ 異なる国でハードウェアを変更する必要がない。
・ 異なる規制範囲でローミングが可能。


802.11e – QoS改善のため、MACを拡張
802.11e はプロトコルの効率化のために、またアプリケーションが十分対応できるように、MAC層を拡張しています。802.11 MACでは、DCF (Distributed Coordination Function) と PCF (Point Coordination Function)が規定され、個人のSTAのアクセスが調整されていました。

しかし、リアルタイム性を要求されるアプリケーションや多くのSTAが見る環境では不十分とされていました。

そのため、802.11eで拡張DCFと拡張PCF(実際はHCFと呼ばれますが)を規定します。これは、トラフィッククラス(TC)を使用し、アプリケーションの優先順位を決定します。メールは優先順位が低く、VoIPは優先順位が高いです。EDCFは、複数のアプリケーションが同時に使用される時に有効です。HC(hybrid coordinator)はQoSにより送信機会を与えるSTAで使用されます。


802.11f – ローミングのため、アクセスポイントの相互接続性を改善
802.11では、PHY と MAC 層仕様が無線LAN用として規定され、APやDSの基本概念も含まれる。しかし、無線LANの導入に関しては記述はありませんでした。

802.11f では、アクセスポイントの相互接続性に関してIAPP (Inter-Access Point Protocol)をします。共通DSでの相互接続に関しても含まれます。このプロトコルはTCP/IP または UDP/IPを使用し、AP間でIAPPパケットを運びます。また、ローミング時間を改善するため、近隣のAPへSTA情報を送るキャッシュの仕組みに関しても規定されています。


802.11g – 2.4 GHz帯におけるさらなる高速通信
11aの5GHzよりも電波伝播特性のより2.4GHzにおいてさらなる高速通信を目指して策定されています。また後方互換性も確保しています。必須モードとしては、11bCCKのERP-DSSS/CCK と ERP-OFDM そして 11aです(マイナーチェンジはありますが)。オプションとして、ERP-PBCC と DSSS-
OFDMがあります。  ERP-PBCC は11bPBCCの拡張で256ステートPBCCを使用し、22および33Mbpsを実現します。DSSS-OFDMは、OFDMでDSSSプリアンブルを使用します。データレートは、6 ~ 54 Mbpsが規定されています。


802.11h – 欧州の5GHz帯のダイナミック周波数選択(DFS)と送信電力マネジメント(TPC)の拡張
802.11h はスペクトラムマネイジド802.11aとして規定されます。これは欧州の5GHz帯の規制が送信電力制御(TPC)を要求しているためです。衛星通信に配慮してのことです。またDFS(dynamic frequency selection) も規定されています。これはレーダシステムを配慮してのことです。

ちなみにDFSはチャネル内のパワーをモニタリングし、レーダシステムが使用されているかチェックし、もし使用されているようなら他のリソースを割り当てる機能です。


802.11i – MAC セキュリティ拡張
802.11は セキュリティのためにWEP(Wired Equivalent Privacy)を使用します。 WEPは幾つかの欠点によりその信頼性に疑問の声がありました。WEPのよく知られる問題としては40bitのエンクリプション(encryption )キーがあります。これは、キー長さが短いため、ハッカーに狙われやすくなります。

802.11iでは、2つのセキュリティ方法を規定しています。一つ目は、TKIP(Temporal Key Integrity Protocol )と呼ばれるもので、レガシーデバイスとの互換性を考慮したものです。これは128bitキーを使用し、パケット毎にキーを変更します。二つ目は、CCMP(Counter mode with Cipher block chaining Message authentication code Protocol)です。これも128bitのキーを使用し、AES(advanced encryption standard )のCCMモードとなります。AESは、FIPS Pub (Federal
Information Processing Standards Publications) 197で規定されています。


802.11j – 日本における4.9 GHz - 5 GHzでの運用
日本で4.9と5.0GHz帯で使用できるよう802.11aを改版したもの。帯域外輻射とスプリアスに関して変更。また、10MHzのチャネルも追加されています。これはハーフレートのクロックを使用するためデータレートも半分(3, 4.5, 6, 9, 12, 18, 24 , 27Mbps)。


802.11K – RRM (RADIO RESOURCE MEASUREMENT) 拡張
802.11k では、より効率的にリソースを使用し、システム全体のスループットを向上するようRRMが規定されています。これまでは信号の強さだけをみてアクセスしていましたが、11kではリソースの空き状況もみて、アクセスに行きます。


802.11l – 使用されていません。
802.11l と 802.11i が間違えやすいため、使用されていません。



802.11m 802.11の修正版
より明確に、わかりやすく802.11を修正しドキュメント化されています。


802.11n 100Mbps以上を目指し、PHY および MAC を拡張
MIMO、パケットアグリゲーション、40MHz帯域幅、OFDMなどを導入。


802.11p – 自動車での無線アクセス(Wireless Access in Vehicular Environments (WAVE))
802.11p は路車間、もしくは車車間の通信を規定するものです。1kmより短い見通し通信を想定しています。いろいろなアプリケーションが想定されていますが、メインは車同士の衝突防止や緊急信号の送信などです。周波数は、5.85~5.925 GHzの範囲が使用されます。米国では7つの10MHzチャネルと、2つの20MHzオプションチャネルが規定されています。

OFDMで52サブキャリアのうち48がデータ送信に使用されます。オプションの20MHzでは54Mbpsまで、10MHzでは27Mbpsまでデータレートがでます。

日本では、アナログTV停波後の700MHz帯が考えられています。欧米では5.8GHz帯が検討。






802.11r – IEEE 802.11 高速BSS(Basic Service Set)トランジション
高速ローミングを考え、STA、DSの切断時間を短縮する、というもの。



802.11s – IEEE 802.11 ESS(Extended Service Set) メッシュネットワーク
メッシュネットワークの規格化。無線LANのカバレッジの拡張とモビリティの向上を目的に規格化。
ホットポイントと呼ばれる中間ステーションの定義や、これをあまり使用しないような最短パスのアルゴリズムも記載されています。


802.11T – 802.11の性能評価環境の規定
無線LANのテスト仕様を規定。



802.11u – IEEE 802.11 外部ネットワークとの協調動作
携帯電話ネットワークを始めとする、他のネットワークとの協調動作に関して規定。


802.11v – 無線ネットワークマネジメント
802.11kを拡張し、より高いレイヤの完成度をあげたもの。BSS送信マネジメント、チャネルの利用および共存、対話、マルチキャスト対話、レポーティング、効率ビーコンメカニズム、プロクシARPアドバタイズメント、ロケーション、タイミング測定、スリープモードなどが規定



802.11w– WLAN MAC およびPHY 使用:保護されたマネジメントフレーム
802.11iが十分なセキュリティを確保していないと判断したため、規格化。
データインテグリティ、データオリジナルオーセンティフィケーション、リレイ保護など。



802.11y – 米国3650-3700 MHz の修正 
米国の3650 – 3700 MHz帯で802.11デバイスが使用できるように規格化。
·        新たな規制クラスの規定 ( 802.11jの拡張)
·        他の送信機のセンシング ( 802.11aの拡張)
·        送信電力制御 ( 802.11hの拡張)
·        ダイナミックな周波数の選択 ( 802.11hの拡張)


802.11z – ダイレクトリンクセットアップ
ダイレクトリンクセットアップ(DLS)に関しての仕様です。DLSは以前から存在していましたが、新しいDLSの仕様は、
・ アクセスポイントのアップグレードが不要であること、
・ パワー制御、
などが追加されました。





802.11aa – ビデオ送信ストリーム:  より安定したストリーミング実現のためMACを拡張 
オーディオ・ビデオストリーミングをより安定させたものにするために、MAC層の拡張をしています。緩やかな劣化などをしたり、中央で制御することなくBSS環境でより安定になったりしています。


802.11ac – 6GHz以下の周波数で、超高速スループットを実現するための拡張.
マルチステーションの最大スループット1Gbps、シングルステーションでは500MbpsのPHYおよびMACの機能拡張。2.4GHz帯を除く、6GHz帯で、後方互換性を伴い、5GHzのライセンスされていないバンドの802.11デバイスとの協調も規定されている。


802.11ad – 60 GHz帯における超高速スループットのための拡張
最大1Gbpsのスループット(MAC層で測定時)を、60GHz帯で実現するために、802.11nを拡張。IEEE 802.15.3cシステムとの共存も目指す。


802.11ae – マネジメントフレームの優先順位 
クラスや優先順位を考えたフレームマネジメント。


802.11af – TV ホワイトスペース
基本的に米国のTVホワイトスペースを考えた規格。
PHYでは、5, 10, 20 MHz のOFDMチャネルが使用される予定。また、このバンドでは無線マイクも使用されているので、この保護も仕様に盛り込まれている。


※ 用語などは以下のリンクがわかりやすいかと思う。
http://www.isc.kyutech.ac.jp/kouhou/kouho16/wireless/2-2.html

2011年9月23日金曜日

NTTドコモ、独子会社が金融会社買収 スマホ向け決済展開

日経新聞で、ドコモの子会社ネットモバイルが決済事業を行うドイツ企業へ追加出資すると、報道されている。

http://www.nikkei.com/tech/news/article/g=96958A9C93819696E0E0E294E18DE0E0E2EBE0E2E3E38698E0E2E2E2;da=96958A88889DE2E0E2E5EAE5E5E2E3E7E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2

この記事から2つのことを感じる。
① 円高を利用した海外企業の買収ラッシュ
② 携帯事業者の通信料による収益モデルからの脱却
だ。前者は以前も触れたが、今後もこの円高を利用し、欧州を今年、来年には米国の企業を買収していくのではないか、と感じている。

今回記事にしたのは②こそが、今後のキャリア会社が目指す道と感じたからだ。

NTTドコモは携帯電話を社会のサービスプラットフォームにしようと考えているようだ。「モバイルを核とした総合サービス企業」という言い方をしている。

以前、送金ビジネスを携帯電話事業者の一つの柱にしていく、というコメントを聞いたことがある。金融機関を使用した送金は手数料があまりにも高く、特に発展途上の国では利用しにくい。そのため、携帯を使用した送金をするケースが海外では圧倒的に多いようだ。この手数料が事業者に入る、というモデルだ。

そうした送金システム・決済システムを含む銀行業、健康・医療、教育、環境分野などなどのサービスを提供し、利益を上げていくことをドコモは目指しているようだ。ソフトバンクもヤフーを活用し、サービス業には力をいれているが、ソフトバンクと決定的に異なることがある。技術力と資金力だ。ドコモは以前からマルチメディアなどの研究にも力をいれ、いろいろなサービスを自社で提供できる能力を有している。また、圧倒的な資金力で、欧米企業の買収、出資、またアジア勢とのコラボなどが容易にできる(この円高、そして二番底が懸念される金融危機はこうした資本戦力に関してドコモの背中を押すことになるだろう)。

そうした技術力と資金力を駆使し、総合サービス企業に生まれ変わったドコモはまさに経済界の巨人となるだろう。多くの従業員を社費で海外留学させるなど、人材のグローバル化にも抜け目はない。

以前PHSの台頭が携帯電話の普及を促したように(PHS以前は携帯料金は高く、庶民には手がでなかったが、PHSで価格破壊が起こり、携帯料金が下がり普及が促された)、ソフトバンク、KDDIの台頭は、ドコモを総合サービスカンパニーへと促し、ドコモの繁栄の道づくりをしたにすぎないのかもしれない。



ZTE 2012年Q2にもLTE端末リリースか!?

中国ZTEが2012年Q2にLTE端末をリリースすると発表した。基地局では既にLTE FDD、TD-LTEの両方で活気のある同社なので、意外に遅いなぁ、という感じはするが、この時期に中国以外でリリースするようだ。

同社は現在ノキア、サムソン、LG、アップルに続き世界で第5位の携帯端末メーカになっている。さすが、前身は国営企業で未だに資金を無利子で政府から調達できるとあって、その急成長ぶりはご存知のとおりである。また、今年の末にはウィンドウズフォンもリリース予定であり、その勢いは留まるところを知らないようだ。


話は変わるが先日携帯電話を電気量販店に見に行った。まさにグローバル競争だな感じるほど様々な国の端末が陳列されていたが、これを見る限り、日本メーカが見劣りする様子はどこにもなく、近い将来日本のメーカも世界で好成績を上げる可能性は十二分にあると感じた。

あるエコノミストが日本がグローバル化に適応するためには、まず日本の市場をオープンにさせることだ、と言っていたのを思い出すが、まさに現在の日本の携帯市場は海外メーカに対してオープンになっており、最初は日本メーカも冷や飯を食うことになるかもしれないが、これをバネに必ず世界市場でシェアを伸ばしていく、という気がしている。

是非ともがんばっていただきたいと願うところである。


2011年9月19日月曜日

AT&TがLTEサービスを開始!

米国のもうひとつの主要キャリア会社AT&TがとうとうLTEサービスを開始しました。これにより本格的な4G通信時代への突入と言えるかと思います。

HTC jetstreamのタブレット端末など4機種を用意し、5GBダウンロードまでは定額、それ以上は課金といった料金プランでのスタートです。

T-mobileの買収が成立すればLTEの網は全米の97%までカバーできるとのことです。これは米国ではすごいですし、ローミングコストなどを考えるとAT&Tの収益性は格段に高まるといえます。

ベライゾンが同様にスプリントネクストテルを買収にかかるか??


アマゾン タブレット端末の噂

これはまだ噂の域をでない情報だが、今年の10月あたりにアマゾンがタブレット型端末をリリースするそうだ。

アマゾンといえば電子書籍キンドルを爆発的に普及させ、欧米の本屋を倒産にまで陥らせた実績をもつ。このキンドルはあくまでも電子書籍用の端末だったが、これをアンドロイドOSで一気にタブレット市場に攻勢をかける格好だ。もちろん、目指すはアップルのiPadだ。

10月に7インチ、2012年初めに10インチの端末をだす予定だそうだ(なかなか正式発表がないのでおくれそうだが)。そのため、このタブレット端末と整合をとる、かつ新たなビジネス展開を行うため、自社のホームページを現在修正中だとか。

本端末にはLTEネットワーク機能は載らないようだが、前日から書いているようにタブレット端末に携帯ネットワーク機能は不要かと思うので、wifiだけで楽しめればいいのかな・・・と思う。

ただ、この情報、全く日本では関係ないのかもしれない。日本ではキンドルどころか電子書籍すら、全く普及していないのだから・・・。

日本は時代遅れだ、とか言われるかもしれないが、日本の文房具技術は素晴らしく、本などの触感が日本人は好きなんだろうし、まぁ雑誌などは徐々にではあるが、普及しているように感じるので、まぁ焦らず市場を見守っていきたい。


(WiFi)ルータが変えるLTEなど無線通信業界の生態系

GSA(Global mobile supplier association)の2011年7月のレポートによると、LTE製品は世界で161品が既にリリースされている、とのことだ。
http://www.gsacom.com/downloads/pdf/gsa_lte_ecosystem_report_290711.php4

その内訳は、

- モジュール 29
- タブレット 8
- ノートブック 10
- PCカード 2
- 電話 8
(WiFi)ルータ 63
- USBモデル 41
 
となっており、ルータの数が一番多い。やはり、LTEは最初データ通信に特化したネットワークであることと、スマートフォンなど電話機能を含むものなどは、高機能で投資が大きいので、最初はルータから作る、というのは納得のいくところだ。


私自身もタブレット端末を購入した後、wifiルータは非常に便利に使用させてもらっている。入手したタブレット端末が携帯系のネットワークを積んでおらず、外で使うためには不便なので、あたらに購入したのだ。これを購入した後、自分のネットワーク環境をより便利に安価に変えようと、いろいろアイディアが浮かんできた。

・ 公衆無線LANサービスの解約(wifiルータでどこでも賄える)
・ iPhoneからiPod touchへの変更の検討(通話機能はスカイプやNTTコミュニケーションズの050plusで賄える)
・ 家の有線ネットワーク解約の検討(無線LANで全て構築していたがwifiルータで賄えるので)
などなどだ。

つまり、上記のサービスなどを解約したとしても、なんら支障がなさそうなのだ。ルータは特にwifiルータは通信業界の利益をシュリンクさせるように働くのではないかとまで感じる。

また、GSAの調べでもあるようにLTEで多くのルータが登場してくることになるので、今後この動きは加速していく。そして、以前はLTEとWiMAXや、ADSLと光のように、無線なら無線、有線なら有線で競争しあっていたのだが、今後は私の3番目の変化のように、有線通信と無線通信が同じ土俵にのり、戦っていくことになるので、通信業界の競争はさらに激化していく、と感じる。

インフラ代に目を向けると、WiFiのインフラとモバイルのそれは当然桁が違う程後者の方が高い。つまり、より前者の方にデータ通信を逃していかなくてはならなかったのだが、wifiルータはよりモバイルインフラの方に負荷をかけることになる。これにより通信事業者のインフラ構築の必要性の向上、そして収益の圧迫、ユーザのネットワークコストの増大もしくはwifiルータの禁止、なんてことも起きるかもしれない。

また、他の面では、現在PCやゲーム機などにモバイルモジュールをいれ、利便性を図ろうとする動きがある。しかし、これすらもwifiルータによって一蹴されることになるだろう。つまり、今まで通りwifiモジュールの入ったPC、ゲームがあれば、wifiルータによっていつでもモバイルネットワークにつなげることができるようになるのである。

この動きにより、モバイル技術のモジュール・チップセットまた測定器は売れなくなることになる。

プラスの面をみると、ルータメーカの売上の向上だろう。

日本でも既にPLANEXやバッファローなどが表明しているように彼らのようなwifi系の製品を作ってきたメーカがより脚光を浴びるかもしれない。より小型でより電池のもちのよい、もしくは太陽電池付きのルータなどがあれば大きな収益をあげるかもしれない。ただ、このあたりは韓国・台湾・中国勢が得意なところなので、日本メーカは厳しいかもしれないが。

以上、長々と書いたがwifiルータの普及が進むと、
・ 1ユーザあたりの総合的な(有線等も含めた)通信コストの低減
・ 有線・無線通信を交えた競争の激化
・ キャリア会社の収益の圧迫
・ ルータメーカの売上向上
などの現象が起こってくるのでは・・・とみる。またスマートフォンでティザリングなどをして使用する方法が加速するとルータメーカには旨味はないことになる・・・。

いずれにせよ、wifiルータは通信業界の台風の目となりそうだ。その普及率なども今後ウォッチしていきたい。


3GPP リリース11(LTE) とキャリアアグリゲーション

既にリリース11の規格化が進められているが、LTEに関係するものを列挙すると以下のようになる。



  • Network-Based Positioning Support for LTE  
  • Service continuity in connected mode and location information for MBMS for LTE  
  • LTE-Advanced Carrier Aggregation of Band 3 and Band 7  
  • LTE Advanced Carrier Aggregation of Band 4 and Band 17  
  • LTE Advanced Carrier Aggregation of Band 4 and Band 13  
  • LTE Carrier Aggregation Enhancements  
  • LTE Advanced Carrier Aggregation of Band 4 and Band 12 
  • LTE Advanced Carrier Aggregation of Band 5 and Band 12 
  • LTE Advanced Carrier Aggregation of Band 20 and Band 7 
  • LTE Advanced Carrier Aggregation Band 2 and Band 17 
  • LTE Advanced Carrier Aggregation Band 4 and Band 5  
  • LTE Advanced Carrier Aggregation Band 5 and Band 17 
  • Further Enhanced Non CA-based ICIC for LTE  
  • New Band LTE Downlink FDD 716-728 MHz 
  • LTE RAN Enhancements for Diverse Data Applications 
  • LTE E850 - Lower Band for Region 2 (non-US) 
  • Carrier based HetNet ICIC for LTE 
  • LTE Advanced Carrier Aggregation in Band 38 
  • LTE Advanced Carrier Aggregation in Band 41 
  • LTE for 700 MHz Digital Dividend 
  • Relays for LTE (part 2) 


現在議論されているアイテムの中で実に21アイテムがキャリアアグリゲーションに関するものということがわかる。スループットをあげるには周波数利用効率をあげるか使用帯域を広げるか、しか方法がないが、前者はOFDMやMIMO技術などの導入で現状は頭打ちなので、後者の使用帯域を広げることがいろいろと検討されているようだ。

しかも、このキャリアアグリゲーションは不連続の帯域でも使用可能で、現在いろいろな無線通信・放送がデジタル化することでホワイトスペースができはじめている背景を考えると、非常に重要なアイテムだと言える。

キャリアアグリゲーションは後方互換性が確保されているので、キャリア事業者としてもサービス拡張の上でも非常に導入しやすいと言える。

実は本アイテムは携帯系の通信だけではなく、無線LAN系のIEEE802.11ac/adでも導入されており(キャリアアグリゲーションという名称は使われていないが、キャリアの拡張という意味で)、今後は必須の技術となっていくだろう。


2011年9月15日木曜日

NTTドコモ、サムソン、LTEなどの高速通信制御用の半導体開発合弁会社設立へ

NTTドコモ、富士通、NEC、パナソニックモバイルコミュニケーションズ、サムソン電子が合弁会社を設立する。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/110914/bsj1109140504001-n1.htm

クアルコムの牙城を崩すためだ。

GSAの報告にもあるが、LTEのチップセットメーカは意外と多い。しかし、実際に採用されるのはクアルコムが8割程度を占める、といっていい状況だ。

日本勢もDNFPプラットフォームを二種類共同開発した経緯があるが、採用されたのは台湾のメディアテック1社にとどまっているようだ。

このチップセットはそれほど接続性という観点で劣っているということはないが、そのブランド力、サポート力などが絡み、やはり採用されていない。

こういった状況を打破するために、半導体の会社を設立する、ということになったのだろう。

ただ、もしそういう狙いであるとすれば、台湾勢や中国勢も参加させるべきだったのではないか?誘ったが仲間に入らなかったのであろうか?また、韓国勢ならLGもいれてもいいと思うが、これも断られたのだろうか?

サムソンだけと協業する狙いはなんであろうか?先にグローバルビジネスで成功しているサムソンのノウハウを吸収する、ということであろうか?また、本合弁会社は開発・設計のみで、量産は他で行う、ということだが、そういった意味でルネサスの立ち位置はどのようになるのか?また、ルネサスが買収したノキアのモデム部門は???

正直謎の多い今回の発表だが、いずれにせよアジア勢のグローバル社会での活躍を切に願う。


2011年9月4日日曜日

タブレット端末には携帯電話ネットワーク機能は不要??

スマートフォンと同様、タブレット端末の勢いもすごい。全携帯メーカー、pcメーカーがタブレット端末をリリースしているといっていいほどだ。しかも、数年前までの状況と異なり、中国、台湾、韓国などのアジア勢の勢いもあり、その市場は本当に活況に満ちていると言っていいだろう。

しかも実際、このタブレット端末、使ってみると手放せない。 私自身iPad2を愛用しているが、その携帯性、アプリの豊富さ、利便性、スタイリッシュさ、どこをとっても使用しない手はないと感じる。今後企業のサーバーなどもこのタブレット端末に対応していくだろうから、外出の多い営業マンなども間違いなくタブレット端末を持つことになるだろう。 このタブレットにLTEのネットワーク機能が必須になるだろうか?ソフトバンクの孫正義CEOなどはTD-LTEの載ったiPadをかなり重要視しているようだが、 実際使用していると違った考えも浮かんでくる。 

そのひとつの原因が「ルータ(WiFi <-> LTEなど携帯電話ネットワーク機能)」の存在だ。

これに関しては別途トピックを設け、本ブログでも議論したいところだが、このルータの存在がタブレット端末において携帯電話ネットワーク機能を不要にさせる、と私は考えている。 BCNの調査によればiPadの初代モデルではWiFiモデルとWiFi + 3Gモデルの販売比率はほぼ1対1だったそうだが、iPad2においては7対3となっており、3Gのネットワーク機能が不人気だということがわかる。これは3Gモデルはキャリア会社からの補助費が入るので初期費用はあまり変わらないことを考えると、価格に基づいた差ではないと言える。 http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/ce/20110513_445062.html

つまり、消費者がタブレット端末には携帯電話ネットワーク機能は不要だと判断したとも取れるのだ。これは実際使ってみるとルータがなくてもそう感じる。タブレット端末を使用するのは家かオフィスがほとんどで電車や車の中などでインターネットにアクセスしようと思うことはまずない。そして、これにルータがあれば全てが解決してしまうわけだ。 そうタブレット端末には携帯電話ネットワーク機能は不要だと言える。携帯電話各社がタブレット端末にもスマートフォン同様期待を寄せているようだが、現状の収益モデルでは当てが外れることになると予想する。 

また、実際使用してみて欲しいと思う無線通信ネットワーク機能は、 ・ wireless HD もしくは、 ・ WiGig などのミリ波帯の超高速伝送規格だ。これらの規格で超高画質映像の伝送が可能だ。これらの無線通信規格により家のテレビやHDDレコーダーから電波を飛ばしてもらい、タブレット端末で家の中のどこでもそれらを楽しめる、というわけだ。60GHz帯で直進性が高いので利用範囲が限られるかもしれないが、寝室やバス・トイレなど、別途TVなど購入しなくても映像が楽しめることになる。また、HDDレコーダーなどに録った番組をタブレット端末に移行するのも一瞬のうちに行えるようになる。 

そう、タブレット端末には、LTEなどの携帯電話ネットワーク機能ではなく、wireless HDやWiGigなどの無線通信機能を実装がキーとなってくるかもしれない。あくまでもこれは私の個人的見解ではあるが・・・。


2011年9月1日木曜日

AT&TとT-mobileの合併を阻止する米国政府機関

AT&TとT-mobileの合併を阻止する動きがでてきた。

独禁法にかからないまでも市場競争を著しく低下させ、消費者に恩恵をもたらさない、ということが理由だ。

AT&TとT-mobileは共に3G時代WCDMAを採用し、いわば仲間だ。これらが一つになれば設備投資費や販促費、また加入ユーザ数が一緒になることで規模の経済の効果があり、事業運営の面でもメリットは大きいと見られる。

また米国では3G時代にCDMA2000を採用し、今後これまた合併の噂がある2つのキャリア会社がある。ベライゾンワイヤレスとスプリントネクストテルだ。

米国には星の数ほどキャリア会社があると言っても過言ではないが、上記にあげた4キャリア会社はトップ4のキャリアといっていいだろう。

合併がそもそもいけないことだろうか?今メーカは合併を繰り返している。東芝と富士通、NECとカシオと日立、ルネサスとノキア、基地局メーカではモトローラとノキアシーメンスネットワークなどだ。

実はメーカの方がグローバリゼーションが活発で、グローバルの範囲で合併等が起こり、また新興勢力が台頭している。つまり、合併は成り行きで、それを補完するかのように新興勢力の台頭がある(逆に先にも新興勢力があったから合併せざるをえない、という考え方もあるが・・・)。

携帯産業は有限の資産「周波数」を使うため、規制が多いが、市場を開放し外資の勢力を取り込んで行けばより消費者にとって恩恵の多い産業になっていくだろう。

なかなか難しい問題だが、資本主義国家をリードするアメリカにはそういった措置もして欲しいものだ。




MIMO技術(Transmission Mode)

LTE release9では送信モード8が追加されている。既にご存知のことと思うが確認のため、
LTEで規定されている送信モードを以下に示す。
 
Transmission Mode 1: Single antenna port, port 0
Transmission Mode 2: Transmit diversity
Transmission Mode 3: Large-delay CDD
Transmission Mode 4: Closed-loop spatial multiplexing
Transmission Mode 5: MU-MIMO
Transmission Mode 6: Closed-loop spatial multiplexing, single layer
Transmission Mode 7: Single antenna port, UE-specific RS (port 5)
Transmission Mode 8: Single or dual-layer transmission with UEspecific RS (ports 7 and/or 8)
(ちなみにportとはアンテナポートを指し、物理アンテナとは異なる。アンテナポートは処理上のポートでチャネル推定を行うリファレンス信号は送信側と受信側で同じアンテナポートを使う。つまり、物理アンテナ2からアンテナポート5の信号が送信されている場合、受信側でも物理アンテナ2の信号を受信しようとする際、アンテナポート5のリファレンス信号を用いてチャネル推定を行う)。

この送信モード8は、2層ビームフォーミングと呼ばれるものであるが、これは送信モード4の空間多重モード(Closed-loop spatial multiplexing)のビームフォーミング版だ。つまり下りの電波はビームを形成しており、かつ2つの情報ストリームを並行して送信しており、スループットが倍になる、というものだ。

また、この送信モード8は1ユーザに対して送信しスループットを高める方法と、各情報ストリームを2ユーザに割り振り、スループットは向上しないものの、同じ物理リソースを使用して異なるユーザにアクセスできるため、基地局の物理リソースを効率的に使えるというすごいメリットがある。

MIMO技術はシンプルだが非常に優れている。シャノンの限界を超えるにもこの技術が必要だった。今後はLTEだけでなく、他の無線通信にも複数レイヤのビームフォーミング技術は導入されていくだろう。

2011年8月23日火曜日

円高

昨今の円高が止まらない。一時期75円台をつけ、今は76円台といったところだが、欧州のユーロ統一通貨そのものの問題、また米国のとてつもない額の借金、などなどが絡み、いずれにせよ、ますます円高が進む、という見方をする専門家は多い。

円高が進む度に日本のマスコミなどは『日本は大丈夫か?』『将来どうなる』と憂う。

しかし、自国の通貨が評価されている現状は、本来誇らしいものなのではないだろうか。高い信用力、強い経済基盤、安定した国内事情を買われて円が高くなっているのだから、デメリットばかりではないはずだ。海外品が安価に調達できたり、海外旅行がしやすかったり、メリットはたくさんある。

つまりいけないのは円高そのものではなく、現在の日本の産業構造の方なのだ。山で海藻をとろうとしているのだ。やはり企業も国も、環境適応、というものをしていかなければならない。円高になるならそういったビジネスドメインに思い切って舵を切る必要があるのではないか・・・?、と考える昨今である。

富士通のフリースケール買収、ルネサスのノキアモデム部門買収、NECの中国の武漢郵電科学研究院(WRI)との提携など、そういった布石を今まさに打っているのかもしれないが、これをさらに進め、以前は生産を海外に・・・と言われていたものをさらに、開発も海外にシフトさせるような構造を創り上げないといけないのかもしれない。

日本ではコンサルティングやマネジメント業務のみを行い、それと同時に、海外で開発・製造された製品を逆輸入し、設置・メンテなど国内でできない業務のみ残すような体制が、望ましいのかもしれない。

そういった意味では現在の日本のブルーカラーの人々は設置・メンテを行うことになると思われるためこれまでとあまり変わらないかもしれないが、ホワイトカラーの人々はさらに一段、二段も上のコンサルティング力(シミュレーションスキル)、またマネジメント力を学び・習得し、実行していかなければならないのかもしれない。

また、そういった際にブルーカラーとホワイトカラーの人々の収入差がかけ離れないよう、お互いの合意の得られる待遇を用意することも国・企業にとって重要なことだと考える。

本ブログは基本的に技術事項に重きを置いた内容にしたいと考えているが、ちょっと最近の円高と日本の電気企業の疲弊具合も鑑み、このような内容も投稿したいと考えた次第である。読み流していただけると幸甚である。

2011年7月12日火曜日

TD-LTEサービスに関する市場状況

GSAの6月のレポートにTD-LTEの状況がまとめられていた。こちらをさらにまとめ以下に記す。


[オーストラリア]
WiMAXオペレータVividがTD-LTEトライアルを2010年12月から二ヶ月間シドニーで実施。2012年までに商用化を目指す。

NBN Co
固定無線TD-LTEを2.3GHz帯で行う予定。場所は郊外の数箇所。

[中国]
チャイナモバイルが1000基地局以上を設置した大規模トライアルを
実施。2012年には商用化予定。

[デンマーク]
Hutchison 3が2.6GHz帯の周波数を取得しLTE FDD/TDD双方サービスを計画。

[フランス]
orangeが
10MHz帯でFDD/TDD双方のトライアルを実施。これを2010年には20MHzに拡大。??????????2010?5??20MHz????

[ドイツ]
E-plusはGTIのメンバ。2.6GHz帯でTD-LTEのトライアル予定。

[インド]
RIL2011年内にTD-LTEサービス開始を予定。Bharti AirtelはTD-LTEをコミットメント。GTIメンバ。クアルコムインディアやTikona DigitalもTD-LTEをコミットメント。

[アイルランド]
2010年6月TD-LTEの試験を終了。

[日本]
ソフトバンクが2.6GHz帯にてTD-LTEを検討。GTIメンバ。

[マレーシア]
WiMAXオペレータPacket Networksが既存のWiMAX網にオーバレイする形でTD-LTEを検討。Asiaspaceも2.3GHz帯のTD-LTEを検討。

[オマーン]
OmantelがTD-LTE試験を2010年7月と2011年に実施。アラブで初のGTIメンバ。

[ポーランド]
Aero2が2.6GHz帯でTD-LTE試験を実行予定。2011年商用化。GTIメンバ。

[ロシア]
WiMAXオペレータYotaが2.3-2.4GHz帯のTD-LTEサービスを計画。

[スウェーデン]
Hutchison 3 が2.6GHz帯でTD-LTEとFDDのサービスを計画。

[台湾]
CHTは、2.6GHz帯でTDD/FDDともに試験を完了。
FarEasToneとチャイナモバイルは2010年にTD-LTEに関して共同試験。WiMAXオペレータはWiMAXの人口カバー率70%を超えた際にTD-LTEに切り替えることを模索。

[USA]
クリアワイヤは3GPPに2496~2690 MHz帯のTD-LTE仕様化を要求。
GTIメンバ。


と、TD-LTEに関しても市場規模は非常に大きそうだ。

2.6GHz帯がよく使われていることもひとつの特徴と言えそうだ。

韓国でもLTEサービス開始!

韓国でもLTEサービスが開始された。

・SKテレコム
・LG U+
の2オペレータで同時に7月1日付けだ。両オペレータともまずはソウル市内のみということだが、徐々に拡大していくということだ。

SKテレコムは800MHz帯を使いまずはドングルのみのリリースだ。しかし、2011年9月にはスマートフォンがリリースを計画しているという。タブレット型もその後リリース予定という。また、2013年にはLTE-advancedのサービスも検討しているということ。

また、LG U+では、2012年中旬までには韓国全土をカバーできるようにする、とのこと。

また、もうひとつのオペレータKTも2011年11月にLTEサービスを開始させる予定とのこと。



近年、中国勢が目立ったこの業界だが、サムソン・LG・パンテックを抱える韓国勢もLTEに関しては鼻息は荒い。

2011年7月8日金曜日

3GPP RAN1-5の説明 他

3GPPのRAN1やRAN5などの言葉を聴いたことがあると思うが、これらに関して以下にまとめておく。

まず、3GPPの中に技術仕様をまとめるTSG(technical specification group)というグループがある。この中にさらに各ワークグループ(WG)があり、これらをTSG RAN WG1などと呼んだりする。一般的には「WG」を省略しRAN1(ランワン)などと呼ばれたりする。

実はTSGの中にはRAN以外に
・TSG GERAN
・TSG SA
・TSG CT
(・TSG RAN)
などもある。RANはradio access networkの略でありLTEなどの無線技術を扱うワーキンググループというわけだ。以下に各ワーキンググループの役割をまとめておく。

TSG RAN WG1(RAN1) 無線レイヤ1仕様
TSG RAN WG2(RAN2) 無線レイヤ2および3RR仕様
TSG RAN WG3(RAN3) Iub Iur および Iu 仕様 - UTRAN O&M 要件
TSG RAN WG4(RAN4) 無線性能およびプロトコル仕様 - RF パラメータおよびBS コンフォーマンス試験
TSG RAN WG5(RAN5) モバイル端末コンフォーマンス試験

である。また、これらは3ヶ月に一度定期的に開かれるが、非定期に開かれるアドホックワーキンググループなどもある。プレナリ(plenary)と呼ばれる全WGが集まったものもある。



詳細は3GPPの以下のサイトが参考になる。
http://www.3gpp.org/Specification-Groups

3GPP RAN/SA/CT の違い

SA - Service & Systems Aspects
RAN - Radio Access Network
CT - Core Network & Terminals

である。リリース9/10の改版がよりサービスについての改版であることがわかる(前回の記事を参照のこと)。。

3GPPリリース10の機能概要

3GPPリリース10の機能概要が6月に改版されている。以下で詳細を確認いただきたいが、
http://www.3gpp.org/ftp/Information/WORK_PLAN/Description_Releases/

概要としては以下だ。


4 SA1 / SA2 Features
5 SA3 Features
6 SA4 Features
7 SA5 Features
8 CT Features
9 UTRA Features



10 LTE Features

10.1 Carrier Aggregation for LTE
10.2 Enhanced Downlink Multiple Antenna Transmission for LTE
10.3 Uplink Multiple Antenna Transmission for LTE
10.4 Relays for LTE (LTE_Relay)
10.4.1 Security for LTE Relay Nodes (Stage 2)
10.5 Enhanced ICIC for non-CA based deployments of heterogeneous networks for LTE
10.6 LTE TDD in 2600MHz for US
10.7 Adding 2 GHz band LTE for ATC of MSS in North America
10.8 Adding L-Band LTE for ATC of MSS in North America
10.9 LTE Self Optimizing Networks (SON) enhancements
10.10 Further enhancements to MBMS for LTE


11 UTRA, LTE Features
12 UTRA, LTE, GERAN Features
13 GERAN Features

ちなみに

SA - Service & Systems Aspects
RAN - Radio Access Network
CT - Core Network & Terminals

である。

LTE-advancedに関してもやはりLTEの改版といった技術革新といってよいかと思う。

3GPPリリース9の機能概要

3GPPよりリリース9の機能概要のドキュメントが6月に更新されている。

詳細は以下を参照していただきたいが、
http://www.3gpp.org/ftp/Information/WORK_PLAN/Description_Releases/
章のみ記載すると、

4 Enhanced Home NodeB / eNodeB
5 User Data Convergence
6 Public Warning System
7 IMS Emergency Calls over GPRS and EPS
8 LCS for LTE and EPS
9 MBMS support in EPS / LTE
10 SA1 Features
11 SA2 Features
12 SA3 Features
13 SA4 Features
14 SA5's Operations, Administration, Maintenance and Provisioning (OAM&P)
15 CT Features
16 Improvements of the Radio Interface
17 RAN improvements
18 LTE improvements
19 Self-Organizing Networks
20 GERAN Features


となる。機会があれば細かく本ブログでも紹介していきたい。

LTEにおけるUE カテゴリ

UEのカテゴリに関して質問をうける。3GPPのリリース8にて規定されているカテゴリを以下にまとめる。

「カテゴリ1」
ピークデータレート[Mbps]: DL 10, UL 5
変調方式: DL QPSK/16QAM/64QAM, UL QPSK/16QAM
マルチアンテナ: SISOのみ

「カテゴリ2」
ピークデータレート[Mbps]: DL 50, UL 25
変調方式: DL QPSK/16QAM/64QAM, UL QPSK/16QAM
マルチアンテナ: 2x2MIMOが必須

「カテゴリ3」
ピークデータレート[Mbps]: DL 100, UL 50
変調方式: DL QPSK/16QAM/64QAM, UL QPSK/16QAM
マルチアンテナ: 2x2MIMOが必須

「カテゴリ4」
ピークデータレート[Mbps]: DL 150, UL 50
変調方式: DL QPSK/16QAM/64QAM, UL QPSK/16QAM
マルチアンテナ: 2x2MIMOが必須

「カテゴリ5」
ピークデータレート[Mbps]: DL 300, UL 75
変調方式: DL QPSK/16QAM/64QAM, UL QPSK/16QAM/64QAM
マルチアンテナ: 2x2MIMOおよび4x4MIMOが必須


カテゴリ5では4x4MIMOが必須のようだが、これはタブレット型端末でないと不可能であろう・・・。

eMBMS / MFSFN マルチキャストサービス

LTE リリース9の仕様にてeMBMS / MFSFNなるものが定義されているようだ。

MBMSはMultimedia Broadcast Multicast Serviceの略で3GPP リリース6で既に定義されている、マルチキャストの機能だ。商用化されたサービスは未だないようだが、このLTEの技術にて(リリース6ではWCDMAの技術)特定ユーザへの放送系サービスがにわかに高まっているようだ。

http://en.wikipedia.org/wiki/Multimedia_Broadcast_Multicast_Service

このMBMSをエンハンスしたものが今回のeMBMSだが、大きくはMBSFNという概念が導入された点が特徴であろう。

このMBSFNのSFNはSingle Frequency Networkの略で放送の分野では既に使用されている技術だ。この技術の効能は、同時刻に同周波数のリソースをいくつかの基地局で使用するため、システムのリソース効率があがる、というものだ。

逆に同時刻に同周波数で使用することは干渉を発生させる、ということであり、携帯端末はいくつかの基地局からの信号をマルチパスフェージングかのように認識する(各基地局からの伝播遅延が異なるため)。LTEではOFDMの信号が使われているためマルチパスがCP(サイクリック・プレフィックス)より小さければ干渉とならない。そのため、MBMSを行う際にはCP長を長くすることも行われる。またMBSFN専用のリファレンス信号も用意されており、CP長より長い遅延波に対しては、パス分離して処理できるのかもしれない。

いずれにせよ、LTE端末ではデータ通信のみではなく、マルチキャストサービスもうけられることが現実的になってきており、スカパーなどに代表される会員制コンテンツ配信サービスなどもモバイル環境で享受できるようになっていくであろう。

本当にすごい時代だし、そういったサービスを早くうけてみたいものだ。

2011年7月7日木曜日

インターラット( inter-RAT, IRAT ) ハンドオーバ

以前記事で音声通信のためのCSFBの記事を書いたが、ハンドオーバとの違いなどについて質問をいただいた。ちょっとここで他ネットワーク間のハンドオーバ関連の技術に関してまとめたい。

3GPPでは以下の4つを定義している。
(1) インターラットハンドオーバ(inter-RAT handover)
(2) ネットワーク補助セル変更(network assisted cell change: NACC)
(3) 単一無線音声通信継続(single-radio voice call continuity: SR-VCC)
(4) サーキッド・スイッチ・フォールバック( Circuit switched fallback: CSFB)

また、現在のネットワークには以下の2種類が存在する
・ 回線交換( circuit switch )    → 回線を占有して通信を行う(GSM,WCDMA,CDMA2000)
・ パケット交換( packet switch )   → パケット方式で回線を共有して通信を行う(GPRS,WCDMA,EVDO,LTE)

この2種類のネットワークを押さえ、上の4つの他ネットワーク間のハンドオーバについて説明する。

(1) インターラットハンドオーバ(inter-RAT handover)
まず、RATはradio access technologyの略でインターラットとは「他ネットワーク間」ということになる。例えばLTE→WCDMA、LTE→GSM、LTE→EVDOといった具合だ。重要なのは「パケットデータ通信」でのハンドオーバということだ。

(2) ネットワーク補助セル変更(network assisted cell change: NACC)
これはLTEからGSMへのパケットデータ通信のハンドオーバで、LTEのパケット方式からGSMの回線交換方式へハンドオーバする際の呼び名である。

(3) 単一無線音声通信継続(single-radio voice call continuity: SR-VCC)
これは音声通信のハンドオーバでPS(packet switched)からCS(circuit switched)領域への移行となる。(4)のCSフォールバックと異なる点はPS領域でも音声のサービス(VoIP)を行っている点である。

(4) サーキッド・スイッチ・フォールバック( Circuit switched fallback: CSFB)
これは以前の記事でも書いたが音声通信をレガシーのCS回線の一任させる方法である。

まとめると、

(1) インターラットハンドオーバ(inter-RAT handover)
データ通信:PSからPS
(2) ネットワーク補助セル変更(network assisted cell change: NACC)
データ通信:PSからCS
(3) 単一無線音声通信継続(single-radio voice call continuity: SR-VCC)
音声通信:PSからCS
(4) サーキッド・スイッチ・フォールバック( Circuit switched fallback: CSFB)
音声通信:CSのみ
データ通信:PSのみ

という形になるだろう。

う~ん、複雑だ・・・。

「以下の資料が役にやつ」
http://www.motorola.com/web/Business/Solutions/Industry%20Solutions/Service%20Providers/Network%20Operators/LTE/_Document/Static%20Files/InterTech%20Mobility%20White%20Paper.pdf

2011年6月12日日曜日

KDDI vs ソフトバンク

KDDIとソフトバンクの加入者数が切迫している。もう既に同位2位と言ってよいほどだ。

この2社、LTEの導入によってどう順位に差がでてくるだろうか?

まず、各社のサービス開始時期だが、
ソフトバンク→   2011年末頃
KDDI→       2012年末頃
とKDDIの方が一年遅い。これは例の周波数再編を待ち800MHz帯で大々的にLTEサービスを行いたい、という意図からだ。KDDI陣営としては、時期よりその後のサービス(回線のつなぎやすさ、インフラコストの廉価さ)を優先させた形だ。

私はこれが裏目にでると予想している。


ではソフトバンクのメリットから見てみよう。ソフトバンクは本ブログでも何度も言っているようにTD-LTEを採用する。今年はじめのバルセロナで行われたモバイル・ワールド・コングレスではGlobal TD-LTE Initiativeなどというチームを立ち上げ、派手にアピールしてみせた。

このTD-LTEは中国向けといってもいい規格であり、中国のZTE、Huawei、また韓国のサムソンが熱心に開発を行っている。この企業はやはりエリクソン、ノキアシーメンスましてや日本勢のNEC、富士通よりも安価な基地局を作成することができ、この点で運用にはメリットがある。また、中国・韓国勢の技術力、サポート力はここ数年の格段にあがり、いまや理系離れが激しい日本勢よりも定評があるくらいだ。

ソフトバンクは、このテクノロジを採用し、インフラコストの廉価さ、と手にしている。

こうなると、KDDIのメリットの効果はなくなる。その上ソフトバンクはあのスマートフォンの化け物iPhoneを囲んでいる。そして、このiPhoneのTD-LTE版は、既にチャイナモバイルへの供給されることになっている。
http://atlasrnc.jp/arcjp/board_trend_oversea_day/1289

つまり、ソフトバンクにも供給可能ということだ(孫さんは中国に太いパイプをもつ、とされる)。そして、孫さんはバルセロナで「タブレット」の名も連呼していた。つまり、iPhoneだけでなく、TD-LTE版のiPadもでてくる、ということだ。

これだけ魅力的な製品のリリースが予想され、かつサービス開始時期も1年も早いとあっては勝ち目はないだろう。

逆にKDDIがLTE FDDの特徴を生かし
・ PSP(プレイステーション・ポータブル)
・ Nintendo DS
・ Xplay( sony ericsson )
などのLTE FDD版でオンラインゲームなどの魅力的なサービスが提供できるようにすれば少しは勝ち目があるのかもしれない。ただ、これらの製品も当然中国・北米市場を狙うためにTD-LTEは実装している筈であり、そうなれば、勝ち目がないことになる。

もちろん、勝ちか負けかの0、1で決まる話ではないが、今のところ見える情報から推察すると、LTE時代はソフトバンクに軍配があがり、
1.NTTドコモ
2.ソフトバンク
3.KDDI
4.イーアクセス
なんていうことになると予想できる。いずれにせよ、来年が楽しみである。

2011年6月10日金曜日

クラウドとLTE

クラウド化が進んでいる。

クラウドは基本サーバー側に様々なソフトを用意し、クライアントがサーバーにアクセスしながら様々なアプリケーションを使用していく。クライアントの端末側にはほとんどソフトが入っておらず軽装であることが特徴になっている。

今後機器はポータブル化していくと考えられるので、この場合いつでもどこでもということで無線でサーバーとクライアントがつながる。この無線の候補がLTEというわけだ。もちろん無線LANも候補ではあるが、両方活用されることになるだろう。

LTEでは4x4MIMO状態で300Mbpsを超える速度を実現しソフトといっても高々1GB程度なので3秒程度でダウンロードでき十分にクラウド環境に対応できる無線ネットワークとなる。

これが実現化すれば夢のクラウド環境をいつでもどこでも味わえる時代が到来し、ハードディスクすら積んでいない端末などが現れ、
・ 端末の低価格化
・ DVDなどのディスクの廃止
・ クラウドサービスの繁栄
・ オペレータの繁栄
など、経済・産業の向きが変わることとなる。クラウド化のインパクトはかなり大きなものになるだろう。そして、その一翼を担うのがLTEなどの無線ネットワークとなる。その実現はもうすぐだ。

CSFB(Circuit Switched Fall Back)とSVLTE

前回CSFBとVoLTEと言うタイトルで記事を書いたが、多くの方からSVLTEはどういうもの?という質問をいただいた。

SVLTEはSVDOと同じ考え方で実現されるデータ通信と音声通信の同時通信であるが、主に3GPP2のテクノロジを採用している米国のベライゾン・ワイヤレスやスプリント・ネクステルで運用されているテクノロジだ。

まずSVDOに関してだが、これはSimultaneous Voice evDO dataの略でCDMA2000のネットワークで音声、EVDO(Evolution data only)のネットワークでデータ通信を同時に行う。端末にはそれぞれの2つの受信機をもつ。基本的にはCDMA2000のネットワークを最初に見てEVDOのネットワークにアクセスをするが、端末によってはEVDOのネットワークのみ見るものもでており、仕様がどんどん変化しているようだ。これに関しては申し訳ないが、他の情報源を調査していただけると有難い。

そして、SVLTEではSVDOのデータ通信網がLTEに代わったというものだ。CDMA2000で音声、LTEでデータ通信といった具合だ。既にSVLTEの端末はあり、HTCのサンダーボルトなども対応している。この端末ではCDMA2000とLTEを両方待ち受けしている。そのため消費電力やコストの問題もあり、本テクノロジに消極的なメーカも多い。SVLTEはいずれVoLTEのパケットスイッチによる音声通信に代わるので、この時期まで静観をしているメーカも多いと聞く。

いずれにせよ、CSFB・SVLTE・VoLTEなどを使い、データ通信が主となる時代も、音声通信は生き残り続ける。

2011年5月14日土曜日

スマートフォン&モバイルEXPOとNECカシオモバイルコミュニケーションズMEDIAS

先週私自身は海外にいたため行けなかったが表記の展示会に関して報告を受けた。

狭いスペースながらも「スマートフォン」のキャッチーな名前に来客者数はとても多かったようだ。

メインの出し元としてはiPadに代表されるタブレット端末をどのように活用するか、そのシステムを訴求するものだ。営業支援ツールとそのシステム。ゲーム。電子書籍などだ。また、クラウドのエンティティとしての活用という提案も多かったようだ。

iOSやアンドロイドの活用ソリューションということでなんだが日本の展示会という感じはしなかったということだ。

唯一日本製で目を引いたのがNECカシオモバイルコミュニケーションズ社のMEDIASだったようだ。その薄さなどスタイリッシュで今までの日本の携帯電話というイメージを払拭したものだったようだ。OSはアンドロイドなので、日本製ではないがその機能の充実は十分ユーザを満足させるものだ。まずはこのようにアンドロイドを利用して日本メーカは海外にでていくのがいいのでは・・・と担当者は言っていた。

ソニーがアップルやグーグルのようなシステムをつくろうとしているようだが、前日の個人情報流出で一旦立ち止まることになるだろう。できていればソニエリのスマートフォンなどで面白いサービスが提供できていたであろうが、少し残念である(まだ中止になったわけではないが・・・)。



今後LTEのスマートフォンはどんどんでてくる。LTEのデータ通信の高速さと端末間の反応の速さを活用したサービスもどんどんでてくるであろう。スマートフォンはデータ通信量が大きく、ARPUを増加させるものである。これによりキャリア会社の収益性が強固となる。またユーザ側のメリットとしても、スマートフォン(タブレット型端末)があればPCを買う必要がなく、その費用を通信費に向けることができる。スマートフォンはまさにPC、ゲーム機など他の携帯端末を凌駕し、収益を通信会社に仕向けるものである。

スマートフォンという存在は通信産業をさらに輝かせる。

2011年5月9日月曜日

ソフトバンク 2010年度決算 一人勝ちっ!!

携帯各社の2010年度決算が出揃った。見事ソフトバンクが一人勝ちで、ドコモ・KDDIは減収となった。

まさに経営の風雲児、孫正義さんは、見事だっ!ボーダフォンをレバレッジバイイングアウト(LBO)した時に既にこの状況が見えていたようだ。

今回はARPUも140円増えているようでiPhone効果が如実にでた格好だ。
http://japan.cnet.com/news/service/35002481/

今回はこのニュースが米国メディアでも報じられた。
http://news.yahoo.com/s/ap/20110509/ap_on_hi_te/as_japan_earns_softbank_4

日本の経済ニュースで明るいものは久々っ!といった感じだ。

しかも、この孫社長の携帯業界での躍進は始まったばかりだ。

あの100億円の寄付は多大なインパクトがあり、孫社長、ならびにソフトバンクは世界中にその名が知れ渡った。今回の米国での報道もその影響は少なからずあったといえる。つまり、今ソフトバンクは世界中から資金が集められる状態になったのだ。

また、ソフトバンクは来年早々にもTD-LTEのサービスを行うと噂されている。ウィルコムを買収した際にTDD用の周波数があり、ここでTD-LTEのサービスを行おうとしている。これが実現すればチャイナモバイルを抜いて世界初のTD-LTEサービスとなるだろう。この準備のため、今年はじめのMWC(モバイルワールドコングレス@バルセロナ)でGlobal TD-LTE Initiative (GTI) に結成・参加している。

そして、このサービスを開催した後にはTD-LTEのサービス同士での安価なローミングなども考えていると思われる。TD-LTEは中国をはじめ、インド、そして北米での導入計画が着々と進み、2013年ころには世界でそのサービスがカバーされるかと思う。

また、iPhone6ではTD-LTEが先に、もしくはFDDと同時にリリースされるという業界関係社の憶測もあり、そうなればソフトバンク帝国がまさにできあがろうとしているのだ。

日本のガラパゴスを打ち破るのはやはり古い電電公社の流れを受け継ぐ者たちではなく、やはり風雲児なのかもしれない!

2011年5月7日土曜日

日本ブランドの訴求を!!

人間の思い込みというものはすさまじい。現在外国人たちは日本特に東京に来たがらない。なぜなら放射能が怖いからだ。また、日本人も狂牛病の際には牛肉の全点検査を求めた。アメリカ人が牛肉を食しているにもかかわらずだ・・・。

これらはネガティブな例だが、こういった思い込みの効果をポジティブに使用するのが、ブランドという概念だ。

・ アメリカの産業はすごい!

というイメージで未だにあれほど不良債権がありながら、米国の国債は買われる。

・ 日立製作所は技術を持っている。

というイメージでお金を貸してくれる金融機関はいくらでもいる。

もちろん、これらはイメージだけではない。ある程度事実も反映した見解だ。

ただ、こういったブランド化したイメージの効果は大きい。私などはブランド化してから実力を上げていけばいいのだ・・・と思うほどいい加減な人間なのだが、何をいいたいか、というと日本のブランド力は世界においてかなりでかい!!!ということだ。

今は携帯業界は第三世代の失敗(FOMAという日本独自の規格を採用したため、いいものではあるが世界に受け入れられなかった(ガラパゴス現象))で自信を失い、欧米の潮流に合わせよう合わせようとしているように見受けられる。

ただ、この方針はあまり日本国に利益をもたらせない。

利益をもたらすのはMade in Japan の世界席巻だ!!

日本はすごいんだ!日本のものはすばらしいんだ!ということをこの業界も再度認識すべきだ!!!
カメラ付き携帯は世界中で度肝を抜いた!当時の大学生たちが欧州、米国、アジア諸国へ行って観光名所を写メでとりまくった。これはあまり知られていないが世界中の人々の度肝をぬいた。英国のこういった現象をみたvodafoneは日本の当時jphoneを買収した感じだ。

とにかく日本製はすごいんだ!!made in Japan is No.1 brand !という感じだ!

現在FNPのプラットフォームの世界市場への普及に苦戦しているということを耳にするが私が知る限り出来は非常にいい。米国クアルコムをしのぐほどの安定性だ。唯一台湾のメディアテックが採用したが、これはドコモ網を狙った採用に過ぎない。日本市場は世界で稼ぎまくらないといけない。このメディアテックの採用目的は本意ではない。

日本の技術力は高い!サービス品質も高い!またワンピース、ドラゴンボールなどのコンテンツ力も高い!これらの実力をもつ、日本の携帯電話が世界で普及しないわけはないのだ。冷静に考えてほしい。もっと胸を張って、上から世界へさとすんだ!日本の携帯電話のすごさを!

ただ、オリジナリティを持ってほしい。iPhoneの様式にあわせるのでなく日本独自の機能、独自のシステムなどをどんどん盛り込んで、世界市場を席巻してほしい!!

私は日本の携帯産業の世界席巻を信じている。従事している方々の本気を期待している。

2011年4月21日木曜日

LTE iPhone は iPhone 5 ではなくiPhone 6 で実現 ??

もちろん、現在の携帯電話産業をささえているのはデータ通信だが、これの最たるものがスマートフォンだ。KDDIなどはこのスマートフォンの遅れなどで一時期シェアもかなり落としたほどだ。そして、このスマートフォンの最たるものが、言わずと知れたApple社iPhoneだ。

そして、今後のLTE時代も、このiPhoneが第一グループとして牽引していくことは間違いないだろう(もちろん、ソニーエリクソンのXperiaやサムソンGALAXYSも第一グループとなるだろうが)。

iPhone5は2011年6月か7月にリリースされるという噂が今まであった。多くはこのiPhone5でLTEが搭載されると考えていた。しかし、これはソフトの改善やスペックの改善されたモデルでLTEは搭載されないようだ。次の2012年にリリースされるiPhone6にてLTEが搭載されると見る評論家が大方のようだ。

確かに、先の記事の音声VoLTEの件や(先の記事では日本勢はVoLTEにあまり積極的ではないと書いたがドコモやKDDIもGSMAが「One Voice Initiative」として合意した「Voice over LTE」(VoLTE)に参加している。訂正してお詫びする)、グローバルでのLTEサービス普及度を考えると2012年にリリースするのは納得がいく。

2012年には現状のrelease8のLTEというよりは、release9のLTEが体勢を占める状態にあるだろうから、そういった機能と連携した魅力的なアプリがぞくぞくと出てくるだろう。個人的にはLCS(location service)機能との連携ですごいアプリがでてくるのを期待する。

release9 LTE機能に関してはまたいつか記事を変えて、紹介できればと思う。

2011年4月19日火曜日

CSFB(Circuit Switched FallBack)とVoLTE

以前から書いてはいるが、LTEは当面データ通信に特化したネットワークとなる。LTEは無線回線の呼び名であるため、この場合SAE(system architecture evolution)と呼んだ方がいいだろう。

LTE(SAE)がデータ通信に特化した場合音声通信はできないのか・・と疑問に思うが、音声通信に関してはいろいろと検討されており、そのひとつの方法が今回のタイトルのひとつCSFB(Circuit Switched Fall Back)というものだ。

回線交換の方法には大きく
・ サーキットスイッチ方式
・ パケットスイッチ方式
http://3g4g.blogspot.com/2011/02/circuit-switched-fallback-csfb-quick.html
の2つがあり、サーキットスイッチ方式つまり昔の方式にもどるのがCSFBだ。つまり、LTEの端末で音声通信を行おうとすれば、レガシー(2G、3G)のネットワークを使用し音声通信を行うというものだ。そのため、LTE端末にはレガシーのテクノロジも搭載したマルチモード(LTE+WCDMAなど)端末が主流となる。

この他の音声通信の方法としてはLTEのパケット回線で通信するVoLTEがあり、今年のWMC2011で米国ベライゾンがデモを行った。


日本のキャリア4社(NTTdocomo, KDDI, softbank , eAccess)は未だVoLTEの技術の採用を表明していない。一方、ベライゾンに関しては当面はCSFBで対応する方針だが、2012年ころを目処にVoLTEのサービスを開始したい、としている。

つまり、ベライゾンの方が世代交代(2・3世代→4世代)が早くできるこということだ。もちろん世代交代を早くするメリットは大きい。
・ 新しい世代のテクノロジの方が周波数利用効率が高く、ユーザ数を多く収容でき、収益性を上げることができる。
・ 1つのテクノロジのみのサポートでよく端末、また基地局側のメンテなどコストを削減できる。
などだ。いずれも企業としてはおいしいものだ。

実のところ最近の携帯電話会社は皆、収益性に苦しんでいる。データ量の増加に加え定額料金のため、追加の設備投資は全て赤字となって負担になってくるのだ。

LTEの高速通信でその斬新さをアピールしたところで、やはり赤字経営が待っているのだ。やはり企業たるものROI(Return of Investment)を考えねばならず、VoLTEの技術はLTEには必須アイテムとなってくると考える。

日本のキャリア会社さんはどう今後展開するか、見物である。

2011年4月5日火曜日

Global TD-LTE Initiative (GTI)の設立

リサーチ・アドバイザリ・コンサルティング会社オーバム (Ovum)は、MWC(Mobile World Congress)2011 にてGlobal TD-LTE Initiative (GTI)が設立されたニュースを取り上げています。
http://www.ovumjapan.com/gti_to_boost_20110224.html

私としても、この動きはセンセーショナルなニュースとしてとらえています。参加企業は、
・中国移動:チャイナモバイル(中国)
・Bharti Airtel(インド)
・ソフトバンクモバイル(日本)
・Clearwire(アメリカ)
・E-Plus(ドイツ)
・Aero2(ポーランド)
のキャリア会社であり、新興勢力と呼ぶに相応しい面々です。特に孫ソフトバンク社長のプレゼンテーションは話題を集めました。
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/033/33120/
PCではなくタブレットと話す孫氏の話から次期iPadにはTD-LTE(Advanced-XGP)が実装される、というのは容易に想像ができます。

経済においても資本が西洋から東洋にシフトしている、と言われていますが、携帯のテクノロジにおいてもFDD方式(西洋が主体)からTDD方式(東洋が主体)に勢力またユーザがシフトするということも十分ありうると思います。

機器に関しても中国・台湾・韓国勢がメインに提供しており、安価にシステムを構築することが可能かと思われます。そして、上記のキャリア会社間で格安にローミングなどを提供するようになれば、まさにFDD LTEを駆逐するに十分であるといえます。

TD-LTEは日本のソフトバンク(Wireless city plannning株式会社)が世界ではじめて(2011年内)サービス提供するというような状況になっているため、その動向は非常に興味深いと感じます。日本の端末メーカもTD-LTEを早期に対応させて上記の勢力に提供するような動きがとれれば、ガラパゴス状態から少し抜け出せるのではないかと考えます。

GTIの動きは今後の情報通信業界の台風の目となるかもしれません。

2011年4月1日金曜日

channel numbers of Japanese mobile operators


I would like to show which channel numbers are used in Japan .

[ NTT docomo LTE ]
(band 1)
2147.2MHz (372)

[ NTT docomo WCDMA ]
2132.8MHz (10664)
2137.6MHz (10688)
2142.4MHz (10712)


[ KDDI CDMA2000 ]
 (band10)
860.95MHz(398)
862.30MHz(452)
863.65MHz(506)
865.00MHZ(560)
866.35MHz(614)
867.70MHz(668)


[ UQ WiMAX ]
- 2600MHz
- 2610MHz
- 2620MHz



[ softbank WCDMA ]
- 1478.4MHz (3712)
- 1483.4MHz (3737)

2011年3月12日土曜日

東京国際LTE会議2011Spring(2)

先日ブログで取り上げた東京国際LTE会議2011Springは昨日の地震で途中中止されたようです。

ほんと、あの地震はすごかったですね。まだまだ被害が拡大しそうですが、一刻も早い被害者の救済を心よりお祈り申し上げます。

情報通信の分野でもああいった非常事態にも役に立てる機能を盛り込んでいきたいものです。eCallやETWSなどは今回の地震・津波をきっかけにどんどん普及していくと思われます。

私にできることは募金とお祈りをすることくらいですが、本当に災害に遭われた方々が少しでも身体的・精神的な苦痛が和らぐことを切に願います。


http://volunteer.yahoo.co.jp/donation/detail/1630001/index.html

http://mixi.jp/release_info.pl?mode=item&id=1284

2011年3月10日木曜日

東京国際LTE会議2011Spring

明日3月11日、日経エレクトロニクス主催の『東京国際LTE会議Spring』というイベントが行われる。世界各国でLTEに関するイベントは行われているが、日本でも開催されているようだ。昨年にも日経エレクトロニクス主催の会議があったようでその2回目となるようだ。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/SEMINAR/20110204/189348/

日本エリクソンの藤岡氏、ITU-RへIMT-advancedの候補としてLTE-Advancedの仕様を提出しているが、そのドキュメントの表紙に名前が載っているドコモの中村武宏氏、クアルコムジャパンの山田CEOなど蒼蒼たるメンバーだ。

ここで講演を行う企業を列挙してみよう。
・エリクソンj
・NTTドコモ
・バークレイズ・キャピタル証券
・ローデシュワルツ
・YRP
・日本電気
・クアルコム
・アジレント・テクノロジー
だ。

なんと日本企業は、NTTドコモと日本電気のみ、という寂しさだ。日本企業の衰退を示しているのか、産業自体のグローバル化を表しているのか・・・。

ただひとつ明るい話題は次世代のLTE-Advancedは日本企業が牽引していくことになりそうだということだ。
ドコモの中村氏が仕様をまとめているため、やはりドコモ陣営には有利に働くであろう。より多くの特許技術を次世代通信規格に組み込み多くの特許料を稼ぐようになっていくことを陰ながら祈る。

http://www.3gpp.org/IMG/pdf/2009_10_3gpp_IMT.pdf
(LTE-Advancedの仕様をまとめ、ITUへ提出した資料)

また、LTE-AdvancedはLTEの拡張機能という位置づけに終わっている。今後さらなるデータ通信量が予想されているため、さらなる進化をするにはCDMA、OFDMに続くさらなる通信方式(modem部だけでなく他の技術革新ももちろん歓迎だろう)の開発が必要だ。こんな時代にこそさらなる研究投資をし、先手をとりたいところだ。通信方式の研究は、まずはシミュレーションベースで行われることになると考えるので、大企業に限らず、ベンチャー、個人、大学など様々なところがチャンスを得られるように、産業社会全体の変革も必要になるのかもしれない。


いずれにせよ、こういった勉強会を開き日本の業界水準の向上をするということは大変よいことだと思う。少々受講料が高いが積極的に活用していきたいし、他にもいろいろな勉強の機会を提供してくれればと願いところだ。

2011年3月9日水曜日

周波数争奪???そして、周波数オークション???

フジサンケイビジネスアイの記事で以下(点線より下)の周波数争奪の記事が載っていた。スマートフォンの普及で各社周波数が足りなくなってきているというのだ。

当初NTTドコモとKDDIは既に黄金の周波数帯800MHzの周波数をもっているために、再編での800MHzはソフトバンク、イーモバイルに割り当てられると考えられていた。しかし、昨今のスマートフォンで各社周波数がさらに必要となり、この800MHz帯の割り当ては全くの白紙となった。つまり、4社とのこの800MHz帯の周波数をとりにいく、というのだ。

そして、特筆すべきことはこの周波数の入札が1000億円を上限とするものの、初のオークション方式がとられることだ。


現在日本は借金大国だ。先日1000兆円の国債額が話題を呼び、GDPから考えると世界一の借金大国だ。国としてはのどから手がでるほど財源を確保したい。いろいろと候補はあるようだが、ここで取り上げている周波数は、確実に実現される、と噂されていた。そして、これがいよいよ現実のものとなるのだ。

これはキャリア各社の様相を大きく変える異なるだろう。今回は1000億円を上限のようだが、確実にそのストッパーはとりはずされる。キャリア各社にとっても、同じ設備投資で評判のいいネットワークを確保できるならば、多額のお金を払うことは拒まないだろう。というより、設備投資そのものが小額ですむかもしれない。また、外資も当然参入してくるし、日本勢も海外の周波数オークションというものに間接的にせよ参加していくことになるだろう。経営の振るわないキャリア会社はすぐに淘汰され、これらがグローバルの範囲で実施される。

まさに、このブログのタイトル通り、グローバル情報通信革命だ。

グローバルな革命には、
・ グローバル規格の必要性 → LTEでほぼ実現。
・ SIMロックの問題 → SIMロックフリーで実現。
・ 周波数の問題 → 周波数オークション(さらに自由化される必要があるが・・・)
が必要だと考えるが、さらなる前進が必要にせよ、3つの条件が日本でも整うことになる。


たとえば、ボーダフォンがいろいろな国で携帯サービスを実施するように今後は日本のキャリア会社もどんどん海外にでて、ローミングなどを通しシナジーをだしながら、利益を確保していく必要があるだろう。周波数は土地のように有限資源であるが、外からも解放を求めらるため、今後は外資の国内攻撃も大いにありうる。かつて電電公社であった日本の官僚電話産業が、心を開放しグローバルに展開し、日本をさらに豊かにしてくれることを願ってやまない。




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周波数の争奪、混線模様 ソフトバンク “優先席”消滅
フジサンケイ ビジネスアイ 3月9日(水)8時16分配信
 スマートフォン(高機能携帯電話)の急速な普及や、米アップルの「iPad」に代表される新たな多機能情報端末の登場などで見込まれる通信量の大幅な増加を背景に、限られた携帯向け通信帯域をより有効利用するための「周波数再編」の動きが本格化してきた。

 年内には、ビル陰や山間部でも通信が途切れにくい「プラチナバンド」と呼ばれる700~900メガヘルツ帯について、1000億円の上限を設定した初めての周波数の入札が実施される見通し。当初は携帯後発組のソフトバンクモバイルなどが優位とされてきたが、予想を超える通信量の伸びにNTTドコモやKDDIも入札する方針で、周波数獲得競争は混沌としている。

 ◆通信量増で2強参戦

 「入札条件は同じ状況」。年末にも実施される見込みのプラチナバンドの割り当て先選定について、総務省総合通信基盤局の担当者は全くの白紙だと強調する。

 NTTドコモとKDDIはすでに800メガヘルツのプラチナバンドを使用しているため、新たな割り当ては後発のソフトバンクとイー・モバイルが当確とみられていた。しかしスマートフォンなど新型携帯の急成長で市場環境が激変。総務省によると、携帯の通信量は、2020年までに現在の200倍に膨らむと見込まれており、携帯加入者数が多く、足元で通信量が急伸し始めているドコモとKDDIの上位2社も、入札を静観していられなくなった。

 一方、今回のプラチナバンドの割り当てでは、海外で導入されているオークションに準じる方式が初めて導入される。ただ諸外国の先行事例とは異なり、入札額には1000億円程度の上限が設けられた。

 周波数を取得した携帯電話事業者は、割り当て周波数の現在の利用者に対し、通常は10年程度かけて別な周波数に移動するところを、早急に立ち退いてもらうための費用を落札額として支払う。

 ◆価格並べば総合評価

 純粋なオークションとはいえないプラチナバンドの再配分方法は携帯各社が容認。ソフトバンクは欧米で対応端末が多い900メガヘルツ帯で第3世代(3G)携帯電話サービスと3.9Gといわれる高速データ通信サービス「LTE」の事業展開を要望している。700メガヘルツ帯が15年の割当見通しなのに対して、900メガヘルツ帯は12年と3年早いのも大きな魅力だ。

 ソフトバンクの孫正義社長は「公平性」を理由に、900メガヘルツ帯の割当を主張しており、仮に入札価格が上限の1000億円で並んだ場合、事業計画の優劣で事業者を選定することになる。

 だが上限設定によって、総務省の裁量余地が大きくなれば「オークション的な考え」は事実上反映されない懸念がある。有識者などが「ビューティーコンテストだ」と揶揄(やゆ)する“総合的評価”で決着しかねない。

 このため、総務省は「できるだけ数字で決められるように手続きを進めたい」(電波部)と、透明性を確保する考えだ。具体的には、サービス開始時期やエリア拡大計画、サービス料金など客観データの評価で事業者を選定することになる。

 総務省が透明性を重視したことは、ソフトバンクにとっては「もろ刃の剣」といえそうだ。基地局設置やサービス地域拡大など積極的な設備投資姿勢が大きな要素になるためだ。

 孫社長は昨年、総務省の専門家会合で「巨大企業が大きくなる一方だ」とオークション方式に反対。最近は「オークションを入れるなら、皆、周波数をいったん返上して平等にやるべきだ」と発言し、資金力に勝るドコモなどを強く牽制(けんせい)している。

 ドコモは「電波不足」を理由に700メガヘルツに応札する意向を示すなど携帯4社すべてが応札するのは確実で、ソフトバンクの“優先席”は事実上消滅した。

 700/900メガヘルツ帯の事業者選定は、年末に実施する予定だが、そのための手続きに法的根拠を与える電波法改正案は、まだ国会に提出されていない。携帯利用者にとっては通信品質の向上につながる周波数再編だが、その行方は大手携帯各社の勢力争いに、国会の混迷もからみ視界不良だ。(芳賀由明)

2011年3月6日日曜日

イーモバイルのスマホ戦略を考える

以前、KDDIおよびソフトバンクのスマホ戦略を本ブログで示した。
これが思いのほかアクセス数が多かったので、今回はイーモバイルの
スマホ戦略を考える。

結論から言うとイーモバイルのスマホ戦略は今後下り坂だと
考える。


イーモバイルは、現在300万契約数を超え、かなり好調に見える。
しかし、だ。

イーモバイルはデータ通信に活路を見出し、定額制、PCとの
セット販売、ポケットwifiなるルータで成功したキャリア会社だ。
現在もアップルと恵沢し、iPadの販売なども手がける。

また早い時期からHTCなどの新興企業の端末を採用したことも
奏功しているといえる。

しかし、これがLTEが開始されると様相が一変すると私は考える。

LTEは先日のバルセロナで行われたWMCでVoLTEなる音声通信を
発表されてはいるが基本はデータ通信を基本としたネットワーク
である。音声通信は現状の第三世代のネットワークを使用する
とされている。

そのため、イーモバイルのデータ通信に特化した事業戦略が
効果がなくなってくるのである。イーモバイルは現在、データ
カードのみではなく、
・ pocket wifi(ルータ)
・ 携帯電話
・ 通信モジュール内臓コンパクトPC
などの製品ラインナップをそろえ、かなり魅力的に映る。
http://emobile.jp/products/

個人的にはかなり興味を引く製品群、サービス内容(下り42Mbps
の高速通信も提供)だが、このあたりはドコモ、KDDI、ソフトバンク
ともに当然攻めてくるだろうから、悲しいかな以前のウィルコムと
同じ運命をたどることになるだろう、と私は予想する。
(既にイーアクセスの完全子会社になってはいるが・・・)



今後通信会社はトータルのサービスを要求され、携帯・ネットワーク
サービスの提供だけでは、存続が厳しくなってくる。

たとえば、
・ 顧客管理・営業支援をトータルで提供するサービス
・ 出版社・新聞社・映画会社と組み、電子コンテンツの配給用のネットワークに。
など他業種との協業がキーとなるのではなかろうか。


早い時期に身売りに近い形で他業種や外国オペレータへMVNOを
するのが、唯一生き残る道となるであろう。

2011年2月12日土曜日

GSA(The Global mobile Suppliers Association)

GSAという調査団体をご存知だろうか。

携帯関連の、もっと詳しくいうと3GPP系のテクノロジトレンドをまとめている調査団体だ。
登録すれば無償でデータにアクセスできるので、興味があれば是非アクセスしていただきたい。

http://www.gsacom.com/

ちなみに、3GPP2系のテクノロジに関してはCDG(CDMA Development Group)という団体がまとめている。

http://www.cdg.org/

こちらも興味があればアクセスいただければと思う。


GSAがLTE関連のデバイスに関してまとめている。ここで初めて日本勢が記載された。富士通だ。
今後どんどん日本勢がのることを祈願し、ここに紹介したい。

2011年2月11日金曜日

ノキア スマホ戦略でマイクロソフトと提携!

最近携帯電話のシェアを大きく落としているノキアが大きな提携報道で紙面を賑わせた。

ITの巨人、マイクロソフトとの提携だ。

筆者のような古い人間は、スマートフォンと言えば以前はマイクロソフトウィンドウズののった携帯電話でウィンドウズのアプリケーション(ワードやエクセルなど)が使えたものであったことを思い出す。。そして、これがまた再現されようとしているのか・・・?

しかし、この提携、筆者は現在の携帯産業の流れを変えるようなものではないと考える。つまり、あまり効果がないということだ。

理由は以下だ。
1.ノキアのCEOはMS出身であり、MSの思想を強く受け継ぐ。
2.MSの時代はやはり終わったのだ。コンピュータはいまやネットワークと一体化しており、MSは以前からその思想が薄い。前CEOビル・ゲイツ氏は以前Webブラウザの開発をも当初反対していた。ITはクラウド、SNSなどのweb2.0時代(最近こういう表現はされなくなったが)であり、この流れにMSはなかなか付いていけないと考える。
3.アップル、RIM、グーグル、サムソン、HTCなどスマートフォン先駆者はかなり手ごわい。特にアップル、グーグルはそのビジネスの幅をスマートフォンのみではなく、Appleストア、iTune、googleサイトなどポータルサイトも持ち合わせており、スマートフォンは単なる窓口にすぎない。ソニーなどもこういったビジネスモデルの構築を進めており、ノキアがどこまでこういったしくみを構築できるか、疑問が残る。
4.人材の確保。やはり、MSの人気は陰りが見えていると考える。以前経済評論家ピーター・ドラッカーは『産業の衰退は優秀な人材を確保できなくなった時から始まる』、と述べているがこれは企業に関しても同様である。GPTW(Great Place To Work)の調査でもグーグルが一位に輝く一方、MSは10位にも入っていない。

などである。

といっても誰も未来を確実に予想することはできない。これからのノキアの動きに注目していきたい。また、本ブログの題名にもなっているLTEに関してだが、ノキアはLTEの着手が非常に遅れている。他のスマートフォンメーカは既に開発を着手しており、確実にLTEのスマートフォンを近い将来登場させる。この観点からもノキアは非常にビハンドしている。

どうした巨人。やはり世の慣わしに従い、栄枯盛衰となるのか・・・

また、以下にアメリカ調査会社Gartnerの調査した現在の携帯のシェアを記載したい。

http://www.gartner.com/it/page.jsp?id=1543014

『携帯電話のグローバルシェア』




出典:Gartner(2011年2月)






『携帯電話OSのグローバルシェア』




出典:Gartner(2011年2月)



まぁ、ノキアを心配する前に日本の携帯電話メーカを心配した方がよさそうだ。LTEはグローバル標準規格。LTEでなんとも巻き返しを図っていただきたいところだ。


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ノキア:米マイクロソフトと戦略的提携 スマホで巻き返し
2011年2月11日 20時19分 更新:2月11日 20時52分

【ロンドン会川晴之】携帯電話機世界最大手のノキア(本社・フィンランド)は11日、米マイクロソフト(MS)と多機能携帯電話(スマートフォン)を中心に、幅広い分野で戦略的提携を結んだと発表した。基本ソフト(OS)にMS製の「ウィンドウズフォン7」を採用した新たなスマートフォンを開発し、先行する米アップルや米グーグルを追い上げる態勢を構築する。

 米調査会社ガートナーによると、10年のスマートフォンの世界販売台数は前年比72%増と急伸。アップルの「アイフォーン」や、グーグルのOS「アンドロイド」を搭載した端末がシェアを伸ばしている。

 ノキアも独自のOS「シンビアン」を採用したスマートフォンを展開しているが、グーグルに猛烈に追い上げられ、10年の携帯電話機の世界シェアは36.4%から28.9%に急落。MSも携帯電話会社との提携が進まず、OSの市場シェアは4%にとどまっていた。

ノキアはMS製OSを搭載するスマートフォンには、検索エンジンもMS製の「ビング」を、地図情報サービスでもMS製のソフトを採用する。

 MS出身であるノキアのエロップ最高経営責任者(CEO)は「スマートフォン分野で業界のリーダーになる」と、巻き返しを図る考えを強調した。

2011年2月5日土曜日

ソフトバンクのスマホ戦略を考える

先日KDDIの今後のスマホ戦略に関して当ブログで予想を示した。
http://lteltelte-lteworldsituation.blogspot.com/2011/02/kddi.html

端的に言えばKDDIの今後は明るいという、記事だ。

ここではソフトバンクのスマホ戦略について考えたい。

現在ソフトバンクが持っている周波数は、
1.5GHz DC-HSPA
1.9/2.1GHz  LTEorHSDPA
ともうひとつウィルコムに割り当てられた
2.0GHz  TD-LTE(アドバンスドXGP)
だ。

さすが、IT界の風雲児 孫正義社長 !
ウィルコムの買い物はすばらしいっ!このバンドでのTD-LTEがKDDIでいうところのWiMAXの
役目をすると思われる。

つまり、
音声→ 1.5GHz DC-HSPA
データ通信(移動時)→ TD-LTE
データ通信(固定時)→ 無線LAN

となる。そのため、1.9/2.1GHzは不要となるだろう。ここでデータ通信(移動時)に1.9/2.1GHzのLTEではなくTD-LTEを使うのは、やはりコストの面だ。あえてLTE FDD(1.9/2.1GHz)を採用しリスクを負うのは賢明ではない。TD-LTEにすれば中国・韓国勢の安価で魅力的なインフラ・端末を手にすることができ、競合に対して有利にビジネスの駒を進めることができるようになる。必ずデータ通信はTD-LTEで補われるだろう。

KDDIでは、あまった回線(WiMAXが残ることになるが)はMVNOとして収益をあげるようになると思われるがソフトバンクではその性質上インフラビジネスをすることはあまり得策ではない。ただ、折角もらった周波数をただで返却するようなお人よしビジネスマンではないので、何かしらしかけてはくるだろう。ローミングの利点をアピールし外資のキャリアにそのまま貸すような形態で提携するかもしれない。またM2M専用回線に当てられるかもしれない。

現在スマートフォンの台頭が目覚しいが、電話からの切り口ではなく、他の携帯端末がWiFiだけでなく携帯の通信機能も備えようという動きがある。ソニーが先日発表したPSPに3G回線をいれる例に代表されるゲーム機や、電子辞書、電子書籍端末、パソコン、自動販売機、カーナビなどが考えられている。これらはM2Mの通信なので多くのデータ量は不要だ。格安の基本料金で多くのM2Mを囲い込むかもしれない。このM2Mも孫さんの独自のビジネスセンスで現在ソフトバンクがもつビジネスとシナジーをだし、より価値を発揮することも想像に難くない。


話を端末の方に向けよう。現在ソフトバンクが用意するスマートフォンのラインナップはかなりのものだ。

・ アップル(iPhone4)
・ シャープ(GARAPAGOS)
・ HTC(Desire HD)
・ デル(DELL Streak)
・ ZTE(Libero)
・ ファーウェイ(004HW)

これらのメーカは、LTEでも比較的鼻息の荒いメーカだ。特に中国勢ZTE、ファーウェイはTD-LTEの開発も進んでいる。これらのメーカと組んで早い時期に上記であげた
音声→ 1.5GHz DC-HSPA
データ通信(移動時)→ TD-LTE
データ通信(固定時)→ 無線LAN
の組み合わせのスマートフォンをだせば、さらにシェア拡大なんていうことも十分可能であろう。アップルにおいても必ずやLTEを載せてくるだろうし、また巨大市場の中国を見逃すこともしないであろう。そういう意味でもアップルもソフトバンクの意図にあったスマートフォンも供給できるとみる。

また、無線LANのインフラも整備できているのが、このソフトバンクだ。KDDIなどはソフトバンクから回線を借りている状態だ。


KDDIに続きソフトバンクの未来も明るいのではなかろうか。むしろ、ソフトバンクにはスマートフォンビジネスに死角が見つからない。

日本の携帯電話各社の周波数割当状況(2011年1月現在)


















※ NTTdocomoのクロッシィは、2GHz帯の5MHzを使用しサービス
(2011年1月現在)


参考:


KDDIのスマホ戦略を考える

2010年4月~12月の通信三社の連結決算がでそろったようだ。

ソフトバンクの一人勝ちで、KDDIの一人負け、と言える内容だ。マスコミ各社はスマートフォン戦略の乗り遅れが響いたと分析している。

ここでまずはKDDIの今後の予定を見てみたい。

KDDI(au)は、LTEのサービス開始を2012年に予定しており、その間をEVDO Rev.B 、スマートフォンをWiMAXで凌ぐ戦略を打ち出している。

これまで日本の通信業界が『ガラパゴス』と呼ばれ、なかなか世界市場に出れず冷や飯を食わされたことでわかるように、マイナーな技術を採用するのは得策ではない。

・ 魅力的な端末確保が困難
・ インフラ代が高価

などが伴うからだ。

Rev.BはRev.Aに比較的技術が似ており、アップグレードが容易であるが、Rev.Bを導入する世界のオペレータは3社と極めて少ない(http://www.cdg.org/resources/cdma_stats.asp)。

そして、以前の記事でも書いたが、世界のWiMAXベンダはTD-LTEへの移行を模索しておりWiMAXの市場供給自体縮小傾向なのだ。これに加えKDDIはWiMAX2という規格も導入することを検討している。

Rev.B、WiMAX路線は極めてリスキーとしか言えない。

しかもデータレートもそれほどは望めない。
- Rev.B → 14.7Mbps
- WiMAX → 40Mbps

一方他社の採用する技術では、
- DC-HSPA+ (ソフトバンク、イーモバイル) →42Mbps
- LTE(クロッシィ:docomo) →37.5Mbps
であり、これらは今後もスピードを向上させることができる。


しかし、これは理論上の話だ。

以下のような測定結果がある。

つまり、WiMAXは、契約数を伸ばしているがインフラも十分整備されているため、実際のデータレートが確保できてるようなのだ。一方他のキャリア(docomo、イーモバイル)は理論上速度の速いテクノロジを使っているが、インフラやスケジューリングの関係で、やはりスピードがまだでていないのだ。私もWiMAXとクロッシィを使った経験があるが、やはりWiMAXの方が快適であった。

これはかなり消費者にとって魅力的だ。

一見今後も劣勢なKDDIだが、彼らのスマートフォンにEVDO、WiMAX、無線LANがのれば音声、データ通信(高速移動時、スポット使用)が十分に確保でき、今後挽回できる潜在力が十二分ある、と言えるのではなかろうか(しかし帯域的にはEVDO、WiMAXの両方の周波数を使っているので、収益率がいいということにはならないが)。

Rev.Bにはどの程度設備投資がかかるか不明だが、とにかくマイナー技術に手をだすのはリスキーだ(もう既に遅いが・・・)。

その投資リソースがあるなら、魅力あるスマートフォンの開発、コンテンツインフラの整備、800MHz帯でのLTEサービスの充実に仕向けるべきだと考える。

もちろん、スピードだけが消費者の選定ファクタになるわけではないが、快適なネット接続環境は確実に一つの条件となっている。

つまり、Rev.B、WiMAXはマイナーテクノロジでリスキーだが、WiMAXがここまでインフラが整っていれば十分優位性になるということだ。

こうなると、LTEの存在が薄れる。現在KDDIグループは周波数を
2GHz 、帯域40MHz(CDMA 2000 1x、EVDO Rev.A)

800MHz、帯域30MHz (cdmaOne / CDMA 2000 1xいずれLTE移行?)
1.5GHz、帯域20MHz(LTE)

またUQコミュニケーションズの、
2.5GHz、30MHz帯域(WiMAX)
をもっており、

現状の
音声 → EVDO(cdmaOne / CDMA 2000 1x)
データ通信(移動時)  → WiMAX
データ通信(固定時)  → 無線LAN

ではいいコンビとなるが、LTEが入ると
・ LTE(15.GHz、800MHz)
・ CDMA 2000 1x、EVDO Rev.A(2GHz)
・ WiMAX(2.5GHz)
となり、LTEとWiMAXの役割が被ってしまうことになる。


そのため、ある程度LTEインフラが整ったら、
スマートフォンは、LTEでデータ通信をまかない、WiMAXはMVNOなどをしてJRや電力会社、
カーナビなど法人通信網として活用するのがよいと考える。

つまり、今後のKDDIのスマホ戦略(データ速度のみを考えた場合)として、
[LTE以前]
音声→ EVDO(音声通信で十分なのでRev.Bなど余分な設備投資をしない)
データ通信(移動時)→ WiMAX
データ通信(固定時)→ 無線LAN

[LTE開始後]
音声→ EVDO
データ通信(移動時)→ LTE
データ通信(固定時)→ 無線LAN

※ WiMAXは法人への通信インフラ提供

という形が最適かと考える。特に800MHz帯のLTEは他のキャリアとの差別化にもつながり、今後のKDDIの未来は上記戦略に従えば十分に明るいものだと考える(もちろんこれ以上いい考えをKDDIの従業員の皆様は考え付くであろうが・・・)。

最近何かと元気がないKDDIだが、是非とも今後の明るい日本のためにも応援していきたい。


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ソフトバンク最高益、スマホ出遅れKDDI減益

読売新聞 2月4日(金)18時3分配信

 通信大手3社の2010年4~12月期連結決算が4日、出そろった。ソフトバンクはスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)4」のヒットで、売上高、営業利益、税引き後利益とも過去最高を更新した。

 NTTも増収増益を確保したが、KDDIは減収減益だった。売れ筋のスマートフォン戦略の巧拙が明暗を分けた。

 ソフトバンクは主力の携帯電話事業で、新規契約から解約を差し引いた純増数が252万件に上り、1契約当たりの月間平均収入も唯一増加した。データ通信収入の伸び率は13%に達し、「アイフォーン効果」が顕著に現れた。NTTは、音声通話収入の減少は続いたが、NTTドコモやNTT東日本でデータ通信収入が増えた。一方、KDDIは、スマートフォンの投入の遅れが響き、音声通話収入の落ち込みをカバーできなかった。